あなたへ
そっか
あなたはきっと、
私が淹れるコーヒーの味を、とても大切にしてくれていたんだね
コーヒーを淹れながら、ふと、
あの頃のあなたの胸の奥にある気持ちが見えた気がして、
温かな気持ちになりました。
夕方のあの子と私が、
甘い味に整えられたスティックコーヒーを飲むようになったのは、
いつの頃からだっただろう。
甘いコーヒーが好みだったあなたも、
絶対に、こちらのスティックコーヒーの味の方が、
好みのような気もしてしまいますが、
あなたに淹れるコーヒーだけは、
あの頃と変わらないものを準備し続けています。
だって、あなたなら、きっとこう言うでしょう?
俺は、そっちじゃなくて、いつものコーヒーが良いって。
いつでも、私が淹れたコーヒーを好んでくれていたあなただったから、
その声を聞かなくたって、ちゃんと分かる。
これは、あなたは好まないだろうなって。
私の愛情が籠もっている方が、ずっと美味しい
あなたは、そんなふうに思ってくれていたのかなって、
今日の私は、都合よく解釈しながら、
ほんの少しだけ、頬を緩ませて、
いつもより、少しだけ多めの愛情を足したコーヒーをあなたへ。
きっと、あなたは、私が考えていたよりもずっと、
私が淹れるコーヒーの味を、大切にしてくれていたんだね。
私が此処に生きている限り、
あなたが大切にしてくれていたこの味を、
心を込めて、届け続けるよ。