あなたへ
気持ち良さそうに空を飛ぶ、
鳩の様子を写した何枚かの写真を見返しながら、
ふと、手を止めたのは、
そのうちの1枚の写真の鳩の様子が、
なんだか少し、不自然に見えた気がしたからでした。
写真をアップにして、その様子をよく見てみると、
空を飛びながら、顔だけをこちらに向けた、カメラ目線のような姿が写っていました。
これは、先日、撮ったばかりの写真です。
飛んでは休み、
飛んでは休み、
暫くの間、遠くへは行こうとしなかったあの鳩は、
あなただったのかな なんて、
思わず、そんなことを考えたのは、
これまでにも、何度か、
空を飛ぶ鳥の様子を写真に収めたことはあったけれど、
こんな写真を撮ることが出来たのが、
初めてだったからなのかも知れません。
カメラ目線のような姿で映るその様子からは、なんだか、
俺だよって、あなたの声が聞こえてきそうな気がしました。
あの日のあなたは、その姿を変えて、
こっそりと逢いに来てくれていたのでしょうか。
空を飛んでみたり、
翼を休めてみたり、
その様子を眺めていた私を、ジッと見返してみたり、
あの日見た鳩の不思議な様子を振り返りながら、
その姿を変えて、
すぐ側で見守ってくれているあなたを思い描きました。
私たちが気付かないままに、
あなたは時々、こうして、その姿を変えて、
この世界へと帰って来てくれているのでしょうか。