拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

夜のアイスクリーム

あなたへ

 

アイスクリームが食べたい!

 

眠る前の時間であるにも関わらず、

こんな衝動に駆られたのは、先日のことでした。

 

突然に湧き上がってきた欲望に、

臨戦態勢だったはずの私の中に浮かんだのは、あなたの声。

たまにはいいんじゃない?って。

 

いやいや、でもさ・・・

 

浮かんできた言葉を掻き消すように、時計を見つめていた私ですが、

やがて冷凍庫へと足が向いてしまったのは、

これはきっと、あなたからのお導きであると、

良いように解釈をしてみたからでした。

 

ひとくちアイスクリームを頬張れば、私の中に蘇ったのは、

あなたとのこんな幾つもの夜でした。

 

あなたが側にいてくれた頃は、あの子が眠った後で、

時々2人でこうして、お菓子やアイスクリームなんかを食べながら、

短い夜のひとときを楽しみましたっけ。

 

その日のあの子の様子を話したり、他愛もないことを話したり。

それから、一緒にテレビや映画を観たり。

 

あの時間は、夫婦2人だけの僅かな時間でしたね。

 

もしも今、此処にあなたがいてくれたのなら、

今頃の私たちも、時々にはあの頃のように、

一緒に、夜のお菓子パーティーを楽しんでいたのかも知れませんね。

 

今頃、あの子はどうしているかしら

もう、晩御飯は食べたかしらって。

 

あの子の成長に合わせて、私たちの会話も変わり行き、

夜のお菓子パーティーの中に広がる会話の中にも、

あの子の成長と、私たち夫婦の歴史が刻まれていたのでしょう。

 

あなたを見送ってからの私は、

あの子との幾つかの夜のお菓子パーティーを過ごしたけれど、

あの子の成長と共に、やがてはそんな時間もなくなり、

思えばこうして、ゆっくりとした夜の時間を過ごしたのは、

とても久し振りのことでした。

 

もう此処に、あなたはいないけれど、

時々には、あの頃みたいな時間を持つことも、悪くはないのかも知れません。

 

遅い時間にアイスクリームを食べることが、あなたからのお導きであると、

都合の良いように解釈した先日の夜でしたが、

今後の私の夜の過ごし方の幅が広がった夜でもありました。

 

そう考えてみればやはり、あの夜のあなたは、

あの頃のみたいに、誘ってくれていたのかも知れませんね。

アイスクリーム食べようよって。

 

だって、あの日の夜の私が選んで食べたのは、

あなたが好きだったアイスクリームだったもの。

 

どんなに待ってみても、

あなたのその声は聞こえてこないから、

そういうことにしておこうかな。

 

 

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