拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

あの頃のあなたに逢いに

あなたへ

 

昨日のあなたの命日は、

あの子と2人で過ごしました。

昨年も、一昨年も、あなたの命日には、家族で過ごす日として、

あの子と2人で、外出をしましたが、

今年は、コロナウイルスの影響から、家の中で過ごすことにしました。

 

何をしようか

 

こんなあの子の言葉に、

あなたの声を聞いてみようと誘ったのは、私の方からでした。

 

あなたの声を思い出せないと話してくれたのは、

高校1年生の頃のあの子。

 

ビデオカメラの中に、

あなたの声が入っていることを知りながら、

なかなか再生する勇気を持つことが出来ないままに、

此処までの道のりを歩んで来た私ですが、

あの頃のあなたに逢いに行くのは、

きっと今なのだと、

何故だか、そんなふうに思えたのでした。

 

数年振りに、ビデオカメラを充電し、電源を入れると、

真っ先に選んだのは、小学6年生だったあの子が、

応援団長を務めた運動会の、一番最後の動画。

 

それは、

優勝トロフィーを持ったあの子と、たくさんの友達の笑顔から始まりました。

 

優勝おめでとう

今の感想は?

 

カメラのこちら側からのあなたの問いかけに、

子供たちが、口々に、優勝の喜びを聞かせてくれる、とても素敵な動画でした。

 

そこに、あなたの姿はありませんが、

ビデオカメラのこちら側では、

きっと、あなたも最高の笑顔だったに違いありません。

 

とても、短い動画ではありましたが、

あなたの声が、はっきりと聞こえました。

 

これが、お父さんの声?

 

そう言って、あの子は、耳を澄ませました。

 

あなたの声を、胸へと刻み直すように、

何度もあなたの声を聞きながら、

じっと画面を見つめていたあの子は、

あの頃の記憶を、懸命に辿っていたのでしょうか。

 

ビデオカメラの再生を終えると、あの子は言いました。

 

お母さんが覚えていたお父さんの声、そのままだった? って。

 

うん

そうだよ

 

あの子の言葉に、頷きながら、

私たちが出会った日のことを思い出していました。

 

あなたと出会ったあの日。

 

私が、一番初めに、あなたのどこに惹かれたか、

あなたは、知っていましたか。

 

私ね、あなたの声に惹かれたの。

だから、

私が、あなたの声を忘れるわけなんて、絶対にないの。

 

ビデオカメラの中で、

ずっと待っていてくれた、あの頃のあなたの声を聞きながら、

涙を流す代わりに、私の中で蘇ったのは、

あなたと出会ったあの日の、あなたの声でした。

 

 

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