拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

KANATA 24

寒さも和らぎ、春の陽気を感じられるようになった。


連日、青空が広がり、
日中には、暖かく柔らかな風が吹いていたのは、昨日までのこと。


窓の外を確認しなくても、今日の天気が分かってしまう。

今日は、朝から土砂降りの雨。


お誕生日、おめでとう。


朝、目が覚めると、あの子から、メッセージが届いていた。
今日は、私の誕生日だ。


誕生日に、雨か。


布団から抜け出すと、
厚い雲から落ちてくる雨粒を眺めながら、
ため息の代わりに、私の口から出たのは、
「ラッキー」なんて、喜びの声。


実は、先日、とても素敵な傘を見つけて、購入したものの、
連日の青空に、なかなか使うチャンスがなかったのだ。


新しい傘を差して、散歩に出掛けよう。


朝から、ウキウキと、支度を整えた。
行先は、近所の公園まで。


玄関を開ける頃には、幾分、雨は弱まり、
傘を差すと、心地の良い雨の音が聞こえた。


雨の日の、誰もいない公園は、こっそりとお気に入りの空間だ。


静かな園内を、ゆっくりと楽しみながら、
傘に当たる音が鳴り止んだことに気が付き、空を見上げた。


さっきまでの厚い雲が嘘のように、晴れゆく空に見えたのは、
とても綺麗な虹だった。


ここは、空が綺麗に見える場所。


来て良かった。
私は、虹が消えるまで、空を眺め続けた。

 


『誕生日、おめでとう。』


画面の向こう側から聞こえたのは、クラッカーの音だ。


「ありがとう。ねぇ、あなた。
あれは、誕生日のプレゼントなの?」


『あぁ、気付いてくれたんだ?
そう。俺からの誕生日プレゼントだよ。』


あれ、とは、今日見えた虹のこと。


なんとなく、そんな気がしていた。
きっと、これまでも、彼は、こんなふうに、空の彼方から、
私に、たくさんのプレゼントを送ってくれていたのだろう。


元気がない時に、みつけた飛行機雲も、
思い悩みながら見上げた空に、みつけたハートの形をした雲も、
それらは、全て、
彼からの贈り物だったのだと思う。


彼はきっと、私が考えていたよりもずっと、
ここにいるよ、側にいるよ と、
これまでずっと、私に語りかけてくれていたのかも知れない。


いつでも、偶然を装ったそれらの出来事は、

きっと、必然だったのだろう。

 

 

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