拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

父の夢とてんとう虫

あなたへ

 

父の夢を見ました。

父とあの子が、とても楽しそうに遊んでいる夢でした。

 

夢の中、軽快に歩いたり、飛び跳ねたり、

あの子と一緒に遊んでいた父は、本当に楽しそうでした。

 

体、大丈夫なの?

私のこんな言葉に、父は、笑って言いました。

大丈夫だよと。

 

そんな父の言葉に、私は心から安堵し、

楽しそうに笑う父と一緒に、楽しい時間を過ごしました。

 

目が覚めた私は、

この世界には、もう父はいないのだと落胆したけれど、

きっと、今頃の父は、夢の中のように、

軽快に、歩いたり、飛び跳ねたりしながら、

その自由を楽しんでいるのかも知れないと、そんなふうに思いました。

 

父は、その元気な姿を、

私に見せに来てくれたのでしょうか。

 

夢の中での出来事を反芻しながら、

零れ落ちそうだった涙を堪えました。

 

私は、まだ泣いてはいけない。

これは、父の死との向き合い方を見つけた日に、

決めたことでした。

 

父を想い、

どんなに苦しくても、泣きたくても、

私が決めた、泣いてもいい日を迎えるまで、前を向く。

あの日の私は、そんなふうに決めて、涙を拭いました。

 

夢の中の父の笑顔を思い出し、零れ落ちそうな涙を堪えて、

窓から空を見上げました。

 

夢の中の父が見せてくれた笑顔を、この胸へと刻んで、

大きく深呼吸。

強く目を閉じて、涙を私の中へと閉じ込めると、

再び開いた私の目に映ったのは、

1匹のてんとう虫でした。

 

窓を開けていたわけでもないのに、どこから入って来たのか、

窓の内側に、てんとう虫が止まっていました。

 

亡くなった人は、虫になって逢いに来ると、

こんな話を聞いたことがありますが、

父は、すぐ側で、聞いていてくれたのかも知れません。

 

私、頑張るからねって、

空を見上げて呟いた、私の小さな声を。

 

 

 

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