拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

真新しい朝を感じながら

あなたへ

 

先日の私は、明け方よりも少し前の時間から外出をしました。

 

目的地へと向かう途中、信号待ちで空を見上げれば、

直ぐ側に朝が来ていることに気が付いて。

 

朝だよ!

おはよう!

真新しい朝を感じてみれば、自然と言葉が出てきて、

自分の声を反芻しながら、ふと、懐かしさを感じると共に、

遠い昔の記憶が鮮明に蘇ったのでした。

 

一度遊びに出掛ければ、朝が来るまで遊び尽くす。

これは、あなたと出会う前の私にとっての当たり前の日常でした。

 

ドライブや、他愛もないお喋り。

特別なことなど何もしていなくとも、

ただただ笑っているだけで、瞬く間に時間は過ぎて行きました。

 

やがて白み始めた空を見つけたら、

朝だよ!おはよう!って、何故だか皆で叫びながら、

ハイテンションで新しい朝を迎え入れたのでした。

 

何をしていたのかと聞かれても、

明確に答えることは出来ないあの頃の時間は、

視点を変えれば、無駄な時間とも取れるのかも知れません。

それでも、あの頃の私たちにとっては、無駄なことなど、何ひとつなくて、

ただそこに、一緒に存在することにこそ、

大きな意味があったのだと思います。

 

この人生の中の、ほんの僅かなあの時間は、

とても貴重で、掛け替えのない時間でした。

 

今の自分の日常とは異なった時間を過ごしたことで、

ふと蘇った記憶を辿りながら、

あなたと出会う前の私が見ていた景色を、

今日は、あなたにも話してみたくなりました。

 

実はね、あの頃の私は、

皆と一緒に笑いながら、思っていました。

きっと、こんな時間は、長くは続かないんだろうな

ずっと、このままでいられたらいいのになって。

 

大人になることは、きっとつまらないことなのだと、

こんな漠然とした気持ちを抱えていた私ですが、

やがてあなたと出会い、恋をして、家族になって、

お母さんになりました。

 

あの頃の私も、皆と同じように成長し、いつの間にか大人になりましたが、

あれから先の未来には、

本当にたくさんの素敵な景色が待っていてくれました。

 

大人になることも、とても素敵なことなんだよ

 

もしも、あの頃の私に会えるのなら、

こんなふうに伝えたいなって思いました。