拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ  -夏の音- 2017

今年もまた夏が来たよ


今年の夏は曇り空続きで
なんだか物足りないけれど


厚い雲に覆われたこの空の向こうは
いつでも晴れているんだろうな


見上げた空にあの夏を重ね合わせ
ゆっくりと足を止めた


出会った日の事を覚えていますか?


日焼けした彼の笑顔を思い出し
目を閉じてみた


ちょっと長めの髪はサラサラで
癖のある髪の私は羨ましかった


まつ毛の長い横顔
シルバーのブレスレット
ホワイトのシャツ


あの日の彼をよく覚えている


もう一度
あの夏の彼に逢いたくなって
小さな声で名前を呼んだ


あれからのいくつもの夏は
いつも彼が側にいた


笑ったり
泣いたり
怒ったり


喧嘩して
仲直りして
また一緒に笑った


夏の音は
今年も変わらなくて


彼がいた夏によく似ている


ふと何処かに彼がいる気がして
振り返ったけれど
ここにはもう いないんだね

 


視線を戻した先に見えたのは
あの子が待つ私の家だった


歩き出した私に聞こえた足音は
やっぱり
一人分だけだった

 

 

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小さな秘密

あなたへ


3年前の今日は、一時退院の予定の日でしたね。


あなたの一時退院が決まったのは、1週間程、前の事だったでしょうか。
あの日から、ずっと、ワクワクしていた事、よく覚えています。


あなたが帰宅した時に、ゆっくりと寛いで欲しくて、
時間を見つけては、念入りに掃除をしました。


ずっと、あなたが担当してくれていた庭の草取り。
いつの間にか、伸び放題だったけれど、
あなたに心配させたくなくて、草取りも、頑張りました。


あの子も、とても、協力してくれていましたよ。
綺麗に草取りしてさ、お父さんをびっくりさせようよ って。


あの子も私も、
あなたの一時帰宅が、本当に待ち遠しかった。


一時帰宅の日にね、あなたをびっくりさせようと思って、
あの子と私には、小さな秘密がありました。


運転があまり得意ではない私は、
家からほんの少し離れただけで、知らない道も多かったけれど、
あの頃の私は、病院への近道を見つけた頃でした。


その道を見つけるまでには、道に迷ったり、
なんだか、遠回りになってしまったり、
迷子になりながら、見つけた近道。


ちょっぴり、あなたに自慢したかった。


一時退院の日に、あなたをびっくりさせたくて、
近道を見つけた事は、ずっと、内緒にしていました。


いつの間に、こんな道、覚えたの?って、
あなたのびっくりした顔が見たかった。


きっとね、あなたも知らなかった道だから、
知らなかったでしょ?
なんてさ。


どうでもいいような小さな秘密。


あなたに話すことが出来ないなんて、思わなかった。


一時帰宅の予定の日。
話をする事も出来なくなったあなたに、
私は、ただ、泣いていたんだった。


意識のないあなたが、一粒の涙を流したのは、
ちょうど、この頃でしたね。


一緒に、帰りたかったね。

 

 

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笑うこと

あなたへ


おにぎりの中身って、どんぐり?


これは、先日、あの子が寝ぼけて言った言葉です。


寝不足の朝は、時々、変な事を言うあの子。
近頃、忙しいあの子は、なかなか朝が起きられません。


先日のこの言葉には、
朝から、ひとりで笑ってしまいました。


今朝、あの子に、
最近、疲れてるんじゃない?
なんて言いながら、
先日の、朝の出来事をあの子に話し、
また、あの子と2人で、笑いました。


私の元気がなくなると、決まって、
あの子が大笑いさせてくれる。


あの子は、近頃の私の元気が出ない事も、
本当は、寂しい事も、知らないはずなのに、
不思議ですね。


お陰で、寂しいの世界の真ん中から、
ほんの少し、前に進めた気がします。

 

 

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