拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ

コトバ -空-

昔から空を眺めるのが好きだった 青空の中にポッカリと浮かぶ真っ白な雲 厚い雲の隙間から降り注ぐ太陽の光 ひとつとして同じ空はなく 好みの空を見つける事が出来た日は 幸せな気持ちになった 彼と結婚し あの子が生まれ あの子の成長と一緒に その日の空の…

コトバ -DM-

時々 ポストに彼宛のダイレクトメールが届く きっと彼が会員になったり 住所を書いた先であろう店から届くものだ 彼がいた頃は 届いていたよ そう言って手渡していたが 彼は さほど興味もなさそうに眺めていただけだった 彼がいなくなってからも相変わらず …

コトバ -想い-

空を眺めて彼を想う 今日はね こんな事があってね 今日はね こんな事を頑張ったよ 明日はね こんな事を頑張ろうと思うよ あのね あの子がね 伝えたい事はとめどなく溢れてくる あのね こんな事が出来るようになったよ あの子と こんな話をしたよ 夢の中で逢…

コトバ -最後の我儘-

それは 彼がいなくなり 間もなくの事だった 小さな 丸いお菓子を全部食べたら 彼のところに行ける という夢を見た 手元を見ると 半分程を食べた そのお菓子があった あと残り半分を食べれば 彼のところに行けるんだ そう思って 私は そのお菓子を見つめてい…

コトバ -雲の階段-

雲に乗ることができたらいいのに それは小さな頃の私の夢だった 友達と一緒に空を見上げて どの雲に乗ってみたいか 空想したことが懐かしい もしも 雲に乗ることができたら 彼のところまで 雲の階段を作って 逢いに行こう 彼が好きだった お菓子とジュースを…

コトバ -確認-

私は彼の声が好きだった 低くよく通る声で 何度も私の名前を呼んでくれた優しい声も 甘えた声も 怒った声も 寝ぼけた声も 全部好きだった 私は彼の手が好きだった 彼の大きな手に 私の手はすっぽりと包まれ 色々なところに出掛けたんだ温かくて安心する彼の…

コトバ -傘-

雨の日には あの子と私が濡れないように 彼は大きな青色の傘を差してくれた その傘のお陰で 雨に濡れる心配もなく いつでも安心していられたんだ 雨が止むまで 彼の青色の傘は 私達を守ってくれた 私達にとって 居心地のいい 当たり前の場所だった ある日 青…

コトバ  -不思議な感覚-

それは彼がいなくなり 間も無くの事だった 悲しさも苦しさも必死で隠し 平気な振りをしながら 目の前にある仕事を黙々とこなしていたある日 心ない人の言葉に傷つき 今にも溢れそうな涙を必死に堪え まるで生傷をナイフで抉られたかのような痛みを抱えながら…

コトバ -試練-

これは何かの罰だろうか 彼のいない毎日を 時々そんなふうに考える 罰でないとすれば 何なのだろうか ある人が言った それは試練だよ 彼がいない時間を生きるという試練なんだよ と ポッカリと穴が空いた私の心 その言葉が穴から滑り落ちないよう 両手で受け…

コトバ -2年-

彼がいなくなって2年 もう2年も経ったんだね早いね あの子と私以外 誰もがそう口にする もう2年 あの子と私以外の誰もが 彼がいなくなってからの 2年という期間をそう表現した 例えば彼と出会って2年経った頃あの子が産まれて2年経った頃 もう2年も経…

コトバ  -特別な写真-

彼の遺影は不思議だ 悲しい気持ちで彼を見ると彼も悲しそうに 楽しい気持ちで彼を見ると彼も笑った 笑顔を返してくれる時の彼の遺影は今にも話し出しそうだ いつだったか彼の遺影と話をする夢を見た いつもここから見てるからね の彼の言葉に とても安心する…

コトバ  -二人三脚-

後ろを向いて前を向いてまた後ろを向く 彼がいた夏がどんどん遠くなる 置いて行きたくないよ 私はここだよ 早くおいでよ 後ろを向いて 彼に手を伸ばしたけれど 彼は困ったようにこちらを見つめて 手を伸ばしてはくれなかった 微かに声が聞こえる 横を見たら …

コトバ  -泣かないと決めた日-

彼がいない 悪い夢なら早く覚めてほしいと 何度も思ったけれど 彼がいない あぁ 現実なんだ 夜は眠れなくて 彼の事を考えては 1人で泣き彼にお線香をあげては 1人で泣き車の運転をしながら 1人で泣いた あの子は 彼の告別式以来泣いていない 何も食べられな…

コトバ -夏の音- 2016

夏の音が聴こえる そうか 梅雨が明けたんだ 大好きな夏が来た 彼とは 夏に出会った 暑い夏の夜に出会って 恋をした それからの夏は より一層 特別な季節に変わった 夏に出会って 夏にいなくなった あれから 2回目の夏 やっぱり夏は好きだけれど 苦しくて 何…