いつものスーパー。
棚の陰から、彼とあの子が、私の様子を伺っている視線を感じる。
これは、彼らの『お菓子買って作戦』だ。
素知らぬ顔で買い物を続けていると、ササッと2人が近づいて来て、カゴにそれぞれのお菓子を入れた。
「これもお願いしまーす。」
一緒に買い物に出掛けると、彼らは必ず、それぞれにお菓子を選んで持ってくる。
この時だけは、私は二児の母親になった気分だ。
彼が長男、あの子が次男。
うちの子たちは、私の扱いをよく心得ている。
いくつものお菓子は買って貰えない。
だから必ず、ひとりひとつずつを選んで持ってくるのだ。
今日も、彼お気に入りのパフにチョコレートが掛かったお菓子と、あの子が好きなグミがカゴに入った。
買い物を終え、帰宅すると、早速、夕飯の支度に取り掛かった。
私が料理をする間、彼とあの子は、決まって一緒にテレビを観る。
とても面白い内容だと、
「観て観て!こっち来て。」
って、2人から呼ばれるんだ。
そう。いつも通りの我が家。
おかしいところなど、ひとつもない。
私はこれからも、こうして年を重ねて行くんだ。
ずっと、ずっと━━━。
彼がリクエストしてくれた食事を食卓に並べた。
今日のメニューは、あの子が好きなものでもある。
彼らはとても喜んで、何度もおかわりをしてくれた。
こうして、2人がたくさん食べてくれるのを見るのがとても好きだ。
料理は、相変わらず、苦手だけれど、頑張って作って良かった━━━。
私は、とても幸せな気持ちで2人を眺めた。