拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

そういうことにしておこう

あなたへ

 

今年のこちらでは、花粉の飛ぶ量が多く、

私の周りでは、花粉症の方が多く見られます。

 

え?花粉症じゃないの?

いいなぁ

 

時々、そんな言葉を掛けられますが、

私は、これまでに、一度も花粉症の症状が出たことがないわけではありません。

 

花粉症の話題が出る度に、あの年のことを思い出します。

 

あれは、6年前、あなたのお父さんを見送った春のことでした。

突然の花粉症の症状。

洗濯物を干すために、外に出ただけで、涙やくしゃみが止まらずに、

家事どころではなくなってしまったあの年。

あなたのお父さんが亡くなったと連絡を受け、

1週間程、あなたの実家へ泊まったんでした。

 

自然に囲まれたあなたの実家では、

春には、風が吹くと空気が黄色く見える程に花粉が飛ぶ地域ですが、

あなたの実家で過ごしていた私の花粉症の症状が、

気が付けば、ピタリと治まっていたんでした。

 

あれ?花粉症の症状が治まってる

どうしてだろう

 

そんな私の言葉から、

アスファルトが多く、空気が綺麗とは言えない私たちが暮らす場所とは違い、

あなたの実家の辺りは、空気が綺麗であることなんかを、

あなたの家族と話し合いながら、

花粉症に対して、何も知識がない私は、漠然と、

きっと、あなたの実家で吸った、新鮮な花粉が、逆に良かったのだろうかと、

そんなふうに考えていたんでした。

 

先日、職場で、6年前の出来事を話した私に、

皆が口々に、それはないと言いました。

自然に囲まれた場所へ行けば、

絶対に、もっと酷くなるはずだよ と。

 

よく考えれば、きっと、そうなのでしょう。

 

では、あの年の私の経験は、

一体なんだったのだろうかと、考えていました。

 

あの年の私の症状は、花粉症ではなく、

何か別なものだったのでしょうか。

 

それとも、

あなたのお父さんが、こっそりと、治してくれたのでしょうか。

・・・何か、特別な力で?

 

そう。それがいい。

そういうことにしておこうと思います。

 

だって、その方が、なんだか楽しいもの。

 

あの年、私は、自分でも気が付かない間に、

実は、素敵な体験をしていたのかも知れませんね。