拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子の手

あなたへ

 

お母さん見て?

俺の手、お父さんの手に凄く似てる

 

こう言って、自分の手をまじまじと見つめていたのは、先日のあの子です。

 

手が大きくて、甲の感じはあなたに似ているけれど、指は、私似。

こんな感じで成長し続けてきたあの子ですが、

あの子と一緒にその手を見つめてみれば、

いつの間にか、爪の形だけを私に似せたまま、

あなたの手に、より近付いていたのでした。

 

20歳を迎えたあの子の姿はもう、

完成されたものなのだと思っていました。

でも、こうして日々僅かにずつ、成長する部分もあるようです。

 

本当だね

お父さんの手と凄く似ているね

 

こう呟きながら、私は、あなたのことを想っていました。

 

もしも、此処にあなたがいてくれたのなら、

今のあなたは、どんなふうに笑ったのだろう。

 

あなたの手とあの子の手を重ね合わせることが出来たのなら、

あなたは、なんて言うのかなって。

 

目を閉じて、あの夏のあなたに逢いに行けば、

あの夏のあなたが笑っていてくれるから、

私もあなたに笑い返してみる。

 

ねぇ、あなた

あの夏のあの子は、こんなに大きくなったんだよ

ほら見て?

手の形まで、本当にあなたにそっくりなの

 

こんな私の小さな声に、私の隣にいるあの子を見つめたあなたが、

あまりにも嬉しそうに笑うから、

なんだか涙が溢れてしまうよ。

 

ねぇ、あなた。

あの頃の私たちには、想像もつかなかったね。

 

あれから8年後のあの子が、

こんなに立派に成長した姿を見せてくれるだなんてさ。

 

 

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