あなたへ
あの子が高校生になり、どのくらいが経った頃だったでしょうか。
それまでは、こまめに部屋の掃除をしていたあの子ですが、
徐々に掃除をしなくなり、汚部屋状態へと変わっていったあの子の部屋。
後で片付けるよ
そんなあの子の「後で」は永遠にやって来ないように思われましたが、
少し前に、部屋の大掃除をしました。
部屋の模様替えまでを楽しんだあの子は、
ひと段落すると、私のところへ封筒を持って来ました。
お母さん、見て
仕舞ったまま、忘れていたお金が出てきたよ
なんか得した気分
そう言って、笑顔で封筒から取り出した一万円札。
どうやら、アルバイト代を棚の隅へ仕舞ったまま、
長い間、忘れていたようでした。
私の目には、汚部屋にしか見えなかったあの子の部屋ですが、
あの日から、
あの子の部屋を、財宝が眠る部屋と名付けました。
掃除をすると、こんなに良いことがあるんだね
そんなふうに笑っていたあの子ですが、
あれから、少しの時間が経ち、
あの子の部屋は、また、元に戻りつつあります。
次回、あの子の部屋を大掃除する時には、
どんなお宝が見つかるのでしょうか。
あの子の部屋は、
汚部屋、ではなく、財宝が眠る部屋です。
次回は、驚くような宝物が、見つかるのかも知れませんね。