拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子にとっての青春

あなたへ

 

あっ!あの車は、あの時の・・・

 

先日の私が見かけたのは、

あの子が乗っていた車と同じ車種の車でした。

 

ほら、あの時の、あの方の車で間違いはないでしょう。

だって、ナンバーが同じだったもの。

 

あの日のあの出来事を思い出し、

思わず照れ笑いをしながら、思い出していたのは、

あの子が自分にとっての青春を見つけた日のことでした。

 

巣立ちに当たり、あの子は、

それまで乗っていた車もバイクも手放しました。

 

乗り物の持ち主が大きな一歩を踏み出す時というのは、

乗り物たちにとってもまた、

大きな一歩を踏み出す時であるという言い方も出来るのかも知れません。

 

乗り物たちとのお別れの前に、

それぞれを念入りにピカピカに磨き上げたあの子は、

これからは、

まだ走ったことのない景色が見える場所で、元気に走ってくれたらいいなって、

こんな前向きな言葉を口にしながら、

大切にしていた乗り物を手放しました。

 

一台、また一台と、無事に乗り物たちを手放して、

巣立つ準備を整える慌ただしい日々の中、

ほんの一瞬、その足を止めて、

懐かしそうに、それまで撮り集めた乗り物の写真を眺めたあの子は、

それらは自分にとっての青春であったと、

少しだけ、寂しそうに笑ったのでした。

 

青春って、なんだろう

 

これは、いつかのあの子の言葉。

 

あの頃、思い悩んでいたあの子は漸く、自分もちゃんと、

青春を謳歌していたことに気が付くことが出来たようです。

 

振り返らなけば見えない景色があり、

叶えた夢を過去にした時になって初めて、

それらが自分にとって何であったのかを知ることが、

出来るものなのかも知れません。

 

過去の自分が思い悩んだことに対する答えが漸く見つかる時というのは、

時に痛みを伴いながら、

その答えが漸く見つかるものとも言えるのでしょう。

 

巣立ち前、あの子は漸く、

いつかの自分が思い悩んだことに対する答えを見つけることが出来たのでした。

 

車とバイクが懐かしくて堪らないよ

久し振りに運転がしたいな

でもさ、

俺は、此処で頑張りたいって決めたからさ

 

これは、先日の電話でのあの子の声です。

 

新たな夢を叶えるために、それまで叶えた夢たちを手放して、

そこに見つけた痛みをしっかりと感じ切り、

青春を大切に胸の中へと収めたあの子は、清々しく笑っていました。

 

今がとても楽しいと。

 

いつの日か、あの子はきっとまた、

新たな車やバイクを迎える日がやって来るのでしょう。

 

その時のあの子の胸の中にはきっと、

青春の中に見つけたキラキラとした記憶が鮮やかに蘇り、

今のあの子がまだ知らない色の景色を見つけることが出来るのでしょう。

 

その時のあの子は、どんな話を聞かせてくれるのでしょうか。

 

それはきっと、ずっと先の未来。

青春を懐かしく振り返るあの子の笑顔も、楽しみですね。

 

 

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