拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

大掃除と新たな視点

あなたへ

 

なんだか、全然、終わる気がしないな

 

思わず苦笑いをしながら、部屋の中を見回して、

僅かに途方に暮れたのは、先程の私です。

 

あの子の部屋の掃除を始めましたと、

こんな手紙を書いたのは、あの子が巣立ってから間も無くのことでしたが、

実はあれからの私も、まだまだ、家の掃除と向き合っています。

 

なんて報告をしたら、あなたは驚くのでしょうか。

えぇ?まだ終わってなかったの?って。

 

そうですよね。

そうでしょう。

でも、一番驚いているのは私です。

本当にビックリですよ。

 

巣立った後のあの子の部屋の掃除をしながら、

改めて、他の部屋においても、既に不要なものがあることに気が付いて。

あの子の部屋の掃除を終え、

家族の部屋を改めて見直しながら、不要となったものを順番に片付けました。

 

あの子の夢のお手伝いが出来ればと、

棚を空けるために押し入れに大量のものを押し込んだのは、いつかの私。

 

あんなにたくさんのものが詰め込まれた押し入れの中も、

随分と物がなくなり、そして、部屋の中もスッキリと整いました。

 

窓を開ければ、風の通りも良くなったような気がして、

心地良さを感じたのも束の間に、

次に私が気になったのは、自分の部屋でした。

 

私の部屋に関しては、此処へ引っ越して来てから、

少なくとも二度は大掃除をした記憶があります。

 

私の部屋には、

不要なものなど、もう何も残ってはいないのだと思っていましたが、

今回の長い大掃除の中、

私の視点は変わり、私の部屋の中にも、

今の私には、既に不要となったものがたくさんあることを知りました。

 

例えば、あなたと出会う前から大切にしていたものは、

私という人間を象徴する形であり、

今現在、使っているとかいないとか、そんなことは全く関係なく、

私が生きている限りずっと、大切なものなのだと思っていました。

 

だって、それら全ては、私の分身のようなものだから。

 

ずっと、そんな概念と共に、

分身たちとのこれまでを歩んで来た私でしたが、

それら全ては、既に過去の私であり、今の私ではないことを知りました。

 

かつての夢であった私の分身たちを愛おしく指で辿れば、

蘇るのは、今よりもずっと若かった頃の自分の姿。

 

これらの分身たちと共に歩んでいたはずの私は、

いつしかあなたと出会い、恋をして、

やがて家族となり、あの子が生まれて。

 

押し入れの中へと収めた私の夢は、

ひとつ、またひとつと私が歳を重ねる毎に、いつの間にか、かつての夢となり、

やがて思い出へと変わっていったのでした。

 

もう、手放しても良いのかも知れない。

 

毎日、少しずつ、掃除へと向き合い続けた私の視点は変わり続けて、

あの子が此処から巣立ったように、

私もまた、かつての夢から巣立つ時がやって来たのだと、

こんな新たな視点を見つけたのです。

 

これまでにはなかった新たな視点に、私自身、驚いてしまいましたが、

これもまた私なりの成長とも呼べるのかも知れません。

 

今回は、随分と長い大掃除となってしまいましたが、

全ての掃除を終え、今の自分にとって、本当に必要なものだけが残った時、

きっとまた、新しい視点が見つかるのでしょう。

 

掃除に向き合わなくてはならない日々は、まだ当分続きそうですが、

全ての掃除を終えた時、どんな自分に出会えるのかを楽しみにしながら、

今は、掃除をする時間を大切にしてみたいと思います。

 

 

 

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