あなたへ
あなたに最後の我儘を言ったのは、
夢の中でのことでした。
あれは、あなたを見送り、間も無くの頃のこと。
夢の中のあなたに、
まだこっちに来てはいけないと諭され、
あなたの側へ行くことを諦めた私は、
あなたに我儘を言ったのでした。
それなら、夢の中で、時々、家族3人で過ごしたい と。
あの夢は、
これは夢であると知りながら、
あなたと話をする、とても不思議な夢でした。
あなたを見送ってからの、手帳を見返してみれば、
そこには、
夢の中で、あなたと過ごした思い出が、たくさん詰まっています。
家族3人で過ごした思い出や、
あなたと2人きりで過ごした思い出。
どの時間も、あなたと過ごした大切な思い出です。
昨夜、あなたの夢を見ました。
とても僅かな時間でしたが、
あなたの側で、穏やかな気持ちで過ごす夢でした。
またひとつ増えた、あなたとの大切な思い出を、
手帳に書き記しながら、
6年前の夢の中のあなたに我儘を言った、
あの日のことを思い出していました。
別に、死にたいわけじゃない。
ただ、あなたの側にいたいだけ。
どうしようもなく苦しくて、
胸が張り裂けそうだった私の最後の我儘を、
ずっと、忘れないでいてくれてありがとう。
これまでの夢の中でのあなたとの時間を振り返りながら、
あなたは、ずっと変わらずに、
私の最後の我儘を聞いてくれているのだと、
なんだか、胸の奥が温かくて、泣きたい気持ちになりました。