拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

老夫婦 -2023-

あなたへ

 

先日の私の目に偶然飛び込んできたのは、

老夫婦が会話を交わす動画でした。

 

あなたを見送ってからの私にとって、老夫婦はとても特別な存在。

 

画面の中で笑い合う2人の姿に、憧れの気持ちを抱きながらも、

素敵だなって、

そこにある笑顔に、なんだか、ほっこりとした気持ちになったのでした。

 

例えば、散歩をしている時や、運転中の信号待ちの時間。

老夫婦を見つければ、思わず目で追ってしまう私ですが、

動画には、日常生活の中で見つけるそれよりも、

よりリアルなものを思い描かせてくれる力があるようにも感じているのは、

見せるよりも、魅せてくれているからなのかも知れません。

 

動画を見つめながら、私の中に見えていたのは、

ずっとずっと先の未来にあるはずだったあなたとの時間でした。

 

そこにいる私は、あなたがいない時間を知らない私だけれど、

ゆっくり、ゆっくりと年を重ねて、少しずつ、

いつでも同じ明日を迎えられるわけではないことを学んだ私なのだと思います。

 

あとどのくらい、こうしてあなたと一緒にいられるのかしらって、

時々には、互いが離れ離れになってしまった日のことを考えたりもして、

伝えたい言葉は、今、伝えなければならないのだと、

きっと、悟ることが出来ていたことでしょう。

 

もしも耳が遠くなっていたのなら、

愛してるよって、

恥ずかし気もなく大きな声で、この想いを伝えていたのかも知れません。

 

伝えたいことは、今、伝えなくちゃね

なんて言いながら、

出会ってくれたことや、ずっと側にいてくれたことに、

感謝の気持ちを伝えることも出来ていたのかも知れません。

 

もしも少しずつ、

昨夜の晩ご飯が何であったのかを思い出せなくなってしまっていたのなら、

私はきっと、毎日、あなたへの想いを伝えていたのでしょう。

 

そうして私は、あなたの温かな手を握り締めて、

離そうとはしなかったのかも知れません。

 

私が知っているあなたよりも、

ずっとずっと年を重ねたあなたの姿は、

上手く想像することは出来なかったけれど、

でも、そこにいるあなたは笑っていたよ。

 

そうして、

俺も愛していますよって、何故だか敬語で、私への返事をくれたの。

 

なんだか、手でも繋ぎますか?って、

突然に手を差し出してくれたあの時みたいだね。

 

決して見ることの出来ないずっとずっと先の未来。

 

私が思い描いた景色の中で、

あなたが返事をくれるだなんて思ってもいなかったから、

思わずひとりで、照れ笑いをしてしまったけれど、

あの時のあなたの敬語は、

照れ隠しだったんだなって、今になって漸く気が付いて。

 

数秒間の動画を見つめながら、私の中に見えた景色も、

この人生の中で見つけた大切な宝物。

 

不意にくれたあなたからの返事も、大切に胸の中にしまっておくよ。

 

 

www.emiblog8.com

 

www.emiblog8.com

 

OFUSEで応援を送る