拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

初めての問題点

あなたへ

 

困りました。

実に困りましたよ。

 

あの子が巣立ってから初めて、

ひとりではどうすることも出来ない物事へ直面したような気がします。

 

テレビ番組の予告から、昔から好きだった番組が放送されることを知り、

早速、録画の予約をした私ですが、ふと、気が付いたのです。

私、ひとりで観られないじゃん!と。

 

奇妙なお話のオムニバスで構成されたその番組は、

思えば随分と昔から、私の好きな番組でした。

怖がりであるにも関わらず、

その番組が私の中での上位に上がる番組であるのは、

私が最も苦手とするホラー関連とはまた違った魅力があるからなのかも知れません。

 

あなたと結婚する前は、実家の皆と一緒に。

結婚してからの私は、あなたと一緒に。

そして、あなたを見送ってからの私は、

成長と共に、

アニメよりもテレビドラマなどに興味を持つようになったあの子と一緒にと、

思えば私の側には、いつでも誰かがいてくれて、

安心して、ほんの少しだけ怖い要素の含まれた番組を楽しむことが出来たのでした。

 

あの子が此処から巣立ち、

時には寂しさを感じることもありますが、

特に大きく困った物事には直面しないまま、

此処までを歩んで来ることが出来ましたが、

ここに来て初めて、非常に困ったことに直面しました。

 

お気に入りのテレビ番組を楽しめないこと。

これは私にとっての大きな問題点とも言えるのです。

 

さて、どうしたものかと悩みながら、

あなたの隣に並んで、一緒に観る。

または、あなたの遺影を抱いて一緒に観る。

と、色々な案を出してはみましたが、

どれも違う気がするのは、

怖くなった時に、

今のあなたへの擦り寄り方が分からないからなのかも知れません。

 

録画を撮ったのなら、

昼間に観たら?ってこんなあなたの声が聞こえてきそうですが、

それもまた、得策ではないような気がするのです。

だって、夜になったら、思い出すではありませんか。

 

観たい番組は、録画を撮って後で観る。

いつの頃からかの私の当たり前に従って、

何も考えずに、お気に入りの番組の録画をした私ですが、

一体、これを再生出来る日はやって来るのでしょうか。

 

 

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