拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなた -2023-

あなたへ

 

あなたを見送り、

あなたの名前を口に出すことが、とても少なくなったことに気が付いて、

その顔を見つめながら、

名前を呼んでみたのは、いつの頃だったでしょうか。


自分が思っていたよりも、ずっと小さく、そして、
ちょっとかすれた自分の声に驚きながらも、

あの時の私の中に見つけたのは、

初めて、あなたの名前を呼んだ時みたいに、
なんだかちょっと擽ったくて、恥ずかしい気持ちでした。

 

あれからの私は、その声が聞こえないままに、

1日4回、あなたの名前を呼ぶようになりました。

 

あなた おはよう
あなた 行ってきます
あなた ただいま
あなた おやすみって。 

 

そうして、いつの頃からか、

あなたの名前を呼ぶことは、あの頃のように私にとっての日常となり、

1日のうちのその回数は、自然と増えていったのでした。

 

あなた コーヒー淹れたよ

ねぇ、あなた あの子がね

ねぇ、あなた 私ねって。

 

その声が聞こえないままに、

私は何度くらい、あなたの名前を呼んだでしょうか。

 

今日もまた、いつも通り、あなたの名前を呼びながら、

いつかは、あなたが側にいてくれたあの頃よりも、

こうして、返事が聞こえないままに、

あなたの名前を呼ぶ回数の方が多くなってしまうのかなって、

ふと、こんな気持ちを見つけたけれど、

きっとね、この声は、あなたのところまで、届いているんだろうなって、 

そんな気がしました。

 

だって、あなたの名前をこんなふうに呼ぶのは、

この世界の中で私だけだもの。

 

私が考えた特別な呼び名を、あなたはきっと、

何処にいても、聞き間違えたりはしない。

 

そう。だから、いつの日か、

こうしてあなたの声が聞こえないままに、

あなたの名前を呼ぶ回数の方が増えていってしまうけれど、

私がこの世界にいる間は、

私が考えたあなたの呼び名を、ずっと呼んでいくよ。

 

これは、あなたと私だけの特別だから。

 

 

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