あなたへ
ねぇ、あなた。
あれはいつのことだっただろう。
まだ結婚する前の私たちの時間を思い出していました。
何気なく、2人でデジタル時計を見つめながら、
数字に関する話をしたあの日のことを、あなたは覚えていますか。
あの日の私は、
4と9はあまり好きではないなって、こんな話をしたけれど、
あの時のあなたは言ったのよ。
そうかな
俺は、49なる
良くなる、だと思うよって。
死を連想させる4という数字と、苦を連想させる9という数字。
いつの頃からか、こんなふうに見ていた数字に対して、
あなたは、全く別な視点から見える景色を教えてくれましたね。
あの時、あなたが聞かせてくれた言葉は、
私に見えるその後の景色を変えてくれて。
あれからの私には、4と9という数字が、
特別な数字に見えるようになったのでした。
あなたはこうして、私に見える景色を、
幾つくらい変えてくれただろう。
ねぇ、あなたは知っていましたか。
9という数字に、0以外のどんな数を掛け算をしても、
その和を一桁になるまで足し算するとね、9に戻るのよ。
私がそれを発見したのは、あなたを見送ってから、
どのくらいが経った頃だっただろう。
長い信号の待ち時間。
偶然、私の前に停まっていた車のナンバーに、9の数字を見つけた私は、
あの頃のあなたの言葉を思い出しながら、
何気なく掛け算をしてみたら、
思わぬ発見をして、とても驚いた日がありました。
あれからの私は、
9という数字を、王様として扱うようになりました。
9はね、数字の王様だと思うの。
もしも今、あなたとこんな話をすることが出来たとしたのなら、
あなたはどんな言葉をくれるのかな。