拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

死別後9年目に見える景色

あなたへ

 

今の私に見える景色を眺めていました。

 

今、此処に見えるのは、あなたを見送ってから、

9年と、間も無く3ヶ月を迎えようとしている私に見える景色。

 

今の私が過ごしているのは、あなたを見送ってから、

最後の1桁の数字の1年間です。

 

最後の1桁。

こんなふうに見てみると、この1年間は、

何か、ある種の節目の時期であるようにも感じながら、

改めてあの夏から此処までの私が歩んだ道のりを振り返りました。

 

新しい明日など、もういらないと、

こんな気持ちで眠りに就いた幾つもの夜。

 

あなたがいないこの世界では、

きっと私は長くは生きることが出来ないのだろうと、

漠然と考えていた幾つもの時間。

 

あの夏からの歩みを振り返ると、私の視界は一瞬で闇に閉ざされ、

足元が救われるような感覚さえもを覚えますが、

更にそこから先へと歩んだ道のりを辿ってみれば、

ゆっくり、ゆっくりとだけれど、

確実に、私に見える景色は変化し続けてきました。

 

あなたと過ごした日々を、

過去の良き思い出として振り返る日はいつか来るのだろうか。

 

あなたのその温かな手の温もりを探さずとも、

前だけを見つめて歩める日は来るのだろうか。

 

泣きながら過ごした日々の中、

漠然と考えていたいつかの未来は此処にはないけれど、

それでも、この9年間と約3ヶ月の間に私が集め続けた様々な出来事や気付きは、

私を支え、今の私に見える景色へと導いてくれました。

 

死別の悲しみを乗り越えられる日など、きっとやっては来ないのだと、

いつかの私は、こんな手紙を書きましたが、

きっと此処から先へとどんなに歩んでも、

私にはきっと、そんな日など訪れることはないままに、

この人生を歩み続けて行くのでしょう。

 

きっとね、死別の悲しみは、乗り越えるものではなく、

向き合い続けるものなのだと私は思うのです。

 

きっとこれから先の私も、

不意にあなたの温もりを何処かに探してしまう日もあれば、

あの夏にいたあなたに会いに行ったまま、

後ろを向いて、座り込んでみたくなる日もあるのでしょう。

 

もしもあなたが此処にいてくれたのならと、

別の運命を辿る2人の姿を思い描いては、

小さなため息を吐き出して、空を見上げる日もあれば、

不意にその温もりに触れられるような気がして、

穏やかに笑うあなたの姿に手を伸ばしては、

指先に触れた固い感触に落胆してしまう日もあるのでしょう。

 

この命がある限り、

あなたを見送ってから10年を迎え、15年を迎え、

20年、30年、40年、50年を迎えても、

私はきっと、その時に感じる痛みと向き合い続けながら歩んで行くけれど、

それでもきっと、

過去の自分には見えなかった様々な視点を見つけ続けて、

生きる喜びを知り続けて行くのだと、私は信じています。

 

 

 

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