あなたへ
このお菓子、販売終了になっちゃうんだね
なんだか、寂しいな
あなたを見送ってからの私は、何度くらいこうして、
インターネットで見つけた定番のお菓子の販売終了のお知らせに、
寂しい気持ちを感じて来ただろう。
中には、頻繁にあなたへお供えしていたお菓子も含まれていて、
購入出来なくなってしまう前にと、
慌てて買い物へと出掛けたこともありました。
あなたと共に過ごしていた頃の当たり前の景色は、
少しずつ、少しずつ、形を変えて行きましたが、
お菓子売り場に見える景色もまた、
あの頃のあなたが知らない景色への移り変わりがあります。
これも、時代の流れというものなのかも知れませんね。
この先もきっと私は突然に、
私たちがよく知るお菓子の販売終了を見つけて行くことになるのでしょう。
もしも私が、
自分の希望通りの年齢までを生きることが出来たのなら、
その頃の私は、
あなたにどんなお菓子をお供えしているのでしょうか。
その頃のこの世界には、
あなたが知っているお菓子は、幾つくらい残っているのだろう。
あなたは、昔からの定番のお菓子が好きだったから、
あなたの場所へ、あなたが知らないものばかりが並ぶのは、
なんだか少しだけ寂しいけれど、
あなたはきっと、言うのでしょう。
俺のことを考えて選んでくれたお菓子なら、俺は何でも嬉しいよって。
あなたと過ごした日常の中に当たり前にあったものが、
少しずつなくなって行くことは、やはり少しだけ寂しいけれど、
あの夏にいるあなたが、いつでもあなたのままで、
私の背中を押してくれるから、
私は、時代の流れを見つめながら、
変わり行く景色を受け入れて、
あなたがいないこの世界を歩んで来ることが出来たのだと思います。
変わり行くものをひとつ見つける度に、
私はこうして立ち止まってしまうけれど、
そこに見つける気持ちも大切にしながら、
あなたがいなくなってからのこの世界の景色の中を、
あなたの分まで大切に歩んで行こうと思っています。