あなたへ
ここはパパ似。
ここはママ似。
あの子が生まれてからの私たちは、
何度、こんな会話をしたでしょうか。
あの子が少し成長すれば、
あなたに似たり、私に似たりと、
いつでも忙しなく、その変化を見せてくれましたね。
あなたを見送り、成長と共に、
少しずつ、若かった頃のあなたによく似てきたあの子。
私似の、細く柔らかな髪質は、
幼い頃からずっと、変わっていませんでしたが、
最近になって、あの子の髪質が、
あなたに似た、太く丈夫そうな髪質へと変わりました。
俺、最近、髪の毛が硬いんだけど
先日のあの子のこんな言葉から、あの子の髪を触ってみると、
そこには、私がよく知っている手触りがありました。
あの子が大人へと近づくほどに、
幼い頃のような、日々の変化は見られなくなりましたが、
またひとつ、ここに、あの子の成長を見つけました。
あの子の成長の中に、あなたに似ているところをひとつ見つける度に、
此処にあなたがいてくれたらと、胸の奥が痛むけれど、
きっと、あなたにこの手紙が届きますようにと願いを込めて、
新しくみつけたあの子の成長を、ここに記しておきます。
ここはパパに似ているね
この言葉は、あなたを笑顔にする魔法の言葉。
今日も何処かで、あなたは笑ってくれているでしょうか。
あの頃と同じ、最高の笑顔で。