拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

死別からの立ち直り

あなたへ

 

死別からの立ち直り

 

こんな言葉を目にしたのは、

いつのことだっただろう。

 

いつの日か、あなたの死から立ち直れたと思う日は来るのだろうかと、

ぼんやりと、こんなことを考えていたのは、

あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だったでしょうか。

 

あの夏からの私は、時に、

体の一部が何処かへ行ってしまったような、

呼吸が半分しか出来ていないような、そんな感覚に囚われました。

 

私にとってのあなたは、日常の一部というよりも、

どこか体の一部になっていたのだと思います。

あなたは、私にとって、なくてはならないものでした。

 

それでも、私はいつか、

立ち直れたと、そう思える日が来るのかも知れないと、

こんなことをぼんやりと考えていたのは、

いつかは立ち直らなければならないものなのだと、

漠然と、そう考えていたからなのかも知れません。

 

立ち直る

 

この言葉の意味を調べてみれば、

倒れそうになったものが、もとに戻る

悪い状態から、もとの状態に戻る

とありました。

 

もとに戻ること

 

それは、あの日、あなたと一緒に静かに死んでしまった私を、

此処に生き返らせなければならないのでしょう。

故に、私がかつての私に戻るには、

あなたが此処にいなければ、成立出来ないのだと思いました。

 

それなら、私はもう、

あなたの死から、一生、立ち直ることは出来ないのでしょう。

 

こんなことを言ったら、あなたは、心配するのでしょうか。

 

あなたが側にいてくれたあの頃の世界は、もう、此処にはないけれど、

あなたが居なくなってしまったこの世界で生きる私は、

立ち直ることが出来ない代わりに、

新しい自分を、ちゃんと見つけることが出来たのだと思います。

 

今のあなたに感じ取れるものが、

きっと、此処に居た頃から変わったように、

今の私に見えるものも、あの頃から変わったのかも知れません。

 

元の私に戻ることは、もう出来ないけれど、

私の目の前には、ちゃんと歩むべき道がある。

 

あなたを失ってしまった悲しみは、

これから先も、決して、消えることはないけれど、

それでも、私の目の前に続く道は、あなたがくれた道だから、

私は、立ち直ることが出来なくても、大丈夫。