拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

送れずにいた手紙

あなたへ

 

あなたへの手紙を認めると、疲労感から、

ただ、ボーッとあなたの顔を見つめながら、

結局、手紙を送る元気もないままに、

そのまま眠りに就いたのは、2年前の私でした。

 

偶然見つけた、

あなたへ送ることがなかったあの日の手紙を読み返しながら、

あんな感情であなたを想ったのは、

後にも先にも、あの時、一度だけだったなと、振り返っていました。

 

あの日の私は、とても怒っていました。

 

あの日は、仕事中に、とても理不尽で、絶対にあり得ないことが起こりました。

詳細は割愛しますが、仕事をする中で、

あれほどまでに怒りを覚えたことは、初めてのことでした。

 

あの時の私は、収めようのない苛立ちを抱えながら、

あなたなら、どんなふうに捉えるのだろうかと、

あなたのことを考えたのでした。

 

きっと、クールなあなたなら、

私とは別な考え方で、この場をやり過ごすのだろうなって。

 

楽しい時も、

寂しい時も、

苦しい時も、

1番に思い浮かぶあなたの顔。

 

でも、あんなふうに怒っている時に、

1番にあなたの顔が浮かんだのは、あの時が初めてのことでした。

 

必死に感情を押さえて、勤務時間を乗り切ったあの日は、

家に帰る頃には、怒りを通り越し、疲れ果ててしまったのでした。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

私の話を聞いて、きっと、

くだらないなって、笑い飛ばしてくれたのでしょう。

 

あなたが笑ってくれるから、

やっぱりそうだよねって、

きっと、あなたの隣にいる私も、笑って忘れることが出来たのでしょう。

 

あなたと一緒に笑うことが出来ないままに、

あの日の私は、

これから先、本当にひとりで生きていけるのだろうかとすら考えていましたが、

結局のところ、あの日の私は、あなたに助けられていたのだと、

今になって、漸く気が付きました。

 

もしも、あなたのそのクールな物事の捉え方を知らずにいたのなら、

あの日の私は、別なやり方を選択していたのかも知れません。

 

あなたみたいに、クールな捉え方は出来なかったけれど、

あの日の私は、あなた色の眼鏡を掛けて、

あの日の出来事を乗り切ることが出来ました。

 

あなたは、何処にいても、

そっと手を差し伸べて、私を助けてくれる人。

 

あの時は、ありがとう。

あれからの私は、穏やかに時を過ごしています。