拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

キーパーソン

あなたへ

 

どう生きたい?

 

これまでの私は、

何度こんなふうに自分に問い掛けてきただろう。

 

私にとってのこの問い掛けは、今や当たり前のものとなりましたが、

思えば、こう問い掛けるようになったのは、

前職で共に働いていた先輩の存在がきっかけでした。

 

あの日の彼女が私に話して聞かせてくれたのは、

若かった頃に体験した出来事でした。

 

思わぬ大きなトラブルに巻き込まれ、途方に暮れた彼女が、

それをどのように解決したのか。

 

こんな内容のものでしたが、

それは、どんな相槌を打てば良いのかさえも分からないような、

壮絶で、とても過酷なものでした。

 

あの頃の私はね、

こんなに長く生きられるだなんて思っていなかったのよ

きっと、ストレスか何かで病気になって、

若いうちに死んじゃうんだろうなって思っていたの

 

これは、あの日の彼女の言葉。

 

その困難な状況に向き合い続けた彼女は、

長くは生きられないことを覚悟したけれど、

幸いなことに、病気ひとつせず、その年齢を迎えることが出来たからこそ、

残りの人生についてを深く考えるようになったのだと話してくれました。

 

私はね、自分がどんなふうに死ぬのかなんて、

別にどうでもいいと思っているの

病気になるのか、それとも事故なのか、

この人生の最期は、なんでもいいの

この年まで生きる事が出来たからこそ、

その時が来るまで何を学ぶのか、

私にとっては、そっちの方が重要なのよ

 

こう話しながら、最近、興味を持って学び始めたことについても、

語ってくれたのでした。

 

私には決して真似することの出来ない方法で、

困難へと立ち向かった彼女の話に、

あの時の私は、ただただ頷くことしか出来ずにいましたが、

あの日の時間は、強烈なインパクトを与えながら、

私の中に力強く、根付いていったのだと思います。

 

どう生きたい?

 

今日の私もまた、自分へと問い掛けながら、

ふと、あの頃の先輩の話を思い出していました。

 

彼女と出会うことがなければ、

彼女があの話を聞かせてくれることがなければ、

今の私はこうして、

この言葉を問いかけることはなかったのでしょう。

 

振り返ってみれば、あの日は、

今の自分への問い掛けの言葉が作られた、原点のような日であったのだと思います。

 

一度、覚悟を決めることの出来た人の言葉というのは、

誰かのその後の生き方さえもを変える力を持っているのかも知れません。

 

あの頃、当たり前のように毎日を共に過ごしていた彼女は、

私に、本当にたくさんのものを与えてくれた人でした。

 

こうして改めて振り返ってみると、

彼女は、私のこの人生においての、

キーパーソンのような人であったのかも知れません。

 

彼女は、きっと今頃も何処かで、

今度は、何を学ぼうかしらなんて言いながら、

笑っていることでしょう。

 

本当に素敵な女性だったなと、

今日の私は、長い時間、

あの頃の彼女の笑顔を思い出していました。

 

 

www.emiblog8.com