拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

孤独死を身近に知って

あなたへ

 

私ね、こんなふうに生きて行きたい

こんな自分になって、こんなことをして、

こんなことにも挑戦したいな

それでね、いつか、こんなことをやってみたいの

 

夢を叶えた先の夢までもをあの子に話して聞かせたのは、

いつの頃だっただろう。

それは、一度だけあの子に話したことのある夢を叶えた先の夢の話でした。

 

何の知識も持たない私の話は、

理想論に過ぎないと、

笑い飛ばされてしまったとしても不思議ではなかったはずなのに、

あの子はね、真剣に私の話を聞いてくれて、言ってくれたの。

凄く良いと思う。俺も協力するよって。

 

いつの日か、あの子と一緒にこの夢を叶えることが出来たのなら、

どんな気持ちがするのだろうって、

あの時、更にワクワクとした気持ちで、

ずっと先の未来を思い描くことが出来たのは、

あの子が真剣に私の話を聞いてくれたからだったのだと思います。

 

あれから月日が経ち、あの子の巣立ちの時が間近に迫ってきた頃に、

明け方まで、あの子と2人で様々な話をしたあの日。

あの子は改めて、私の背中を押してくれたのでした。

 

あの夢、一緒に叶えるんでしょう?

俺、応援してるからねって。

 

もう随分前に、たった一度だけ話した私の夢を、

あの子は覚えていてくれて、

あの時と変わらずに私を応援してくれて、

その全部が嬉しかったはずなのに、

よし!頑張ろう!って、あの日の私は改めて、前を見据えたはずだったのに、

実はね、あれからの日々の中、

なかなか思った通りに歩むことの出来ない現実に向き合いながら、

心が折れかけていました。

 

私には、あんなに大きな夢を叶えられる日など、

やって来ないのかも知れないなって。

 

あの家に住んでいた方がね、亡くなられたみたいよ

 

こんな話を耳にしたのは、先日のことでした。

 

奥様を亡くされて、ひとりで暮らしていたご主人は、

部屋の中でひとり、

亡くなった状態で発見されたようでした。

 

私が暮らすこの辺りでは、密なご近所付き合いはありませんが、

それでも、会えば挨拶を交わし、時には、僅かな雑談をすることもあります。

亡くなられたご主人も、そんなお付き合いをする内のひとりでした。

挨拶を交わすことが主ではありましたが、

私が困っていた時に、何度か助けてくださったこともありました。

 

突然、耳に入ってきた話に、衝撃を受けながらも私は、

その最期を迎えた日のご主人は、どんな日を過ごしていたのかな

笑うことは出来ていたのかなって、

そんなことを考えていました。

 

そうして私は、自分へと問い掛けたのでした。

本当に、このままで良いの?

本当は、何をしたいの?って。

 

私ね、いつか、

孤独死を無くせるような場所を作りたいなって、思っていました。

そこは、ひとりであることに不安や孤独を抱えた人が誰でも辿り着ける場所。

 

そこへ辿り着くまでの人生の中、きっと皆がそれぞれに、

辛いことも苦しいことも経験してきたことでしょう。

 

生きることを辞めたいと、

いつかの私と同じような気持ちと向き合った日もあったのかも知れません。

 

そんな傷はきっと、癒える日などやっては来ないのかも知れないけれど、

辛かった日々を振り返りながらも、

でも、この場所に辿り着くことが出来て良かったな

色々あった人生だったけれど、今が楽しいって、

新しい明日を楽しみに出来るような、

そして、

今日も楽しかったなって、

1日の終わりをそんな気持ちで振り返りながら眠りに就いて貰えるような、

そんな場所を作りたいと思っていました。

 

お金があるとか、ないとか。

身寄りがあるとか、ないとか。

そんなことは全く関係なく、

ひとりで不安を抱えている人が誰でも来れる場所を作りたいなって。

 

漠然と思い描くその場所は、

既存のスケールなど、何も置かずに、

自由に思い描いた私の世界です。

 

きっと、既に存在するスケールを初めから置いてしまえば、

既に存在するものと同じものしか作ることが出来ないのでしょう。

 

何も知らずに自由に思い描く私が作りたい場所は、

チグハグで、まだまだ漠然としたものに覆われた場所だけれど、

そこへ一歩一歩、近づきながら、

形を作って行ければいいなと考えていました。

 

初めは小さな場所であるのかも知れないけれど、

私がこの世界を去った後も、その場所が継続され続けて、

いつの日か、誰もが不安を抱えずに、

生きていける世の中へと変わっていってくれたらいいなって、

一度だけ、あの子にこんな話をした日にね、あの子が言ってくれたのです。

 

お母さんがこの世界からいなくなっても、

俺がその場所を引き継いで行くよ

俺も一緒に、その夢を叶えたいって。

 

もしも、本当にそんな未来がやって来たとしたのなら、

私からあの子へ、そして、

あの子から同じ志を持ってくれた誰かへと引き継がれて、

ゆっくりと月日を重ねながら、

やがては、誰もの生き方の選択肢のひとつへと、

当たり前にその場所が浸透していく日がやって来るのかも知れません。

 

もしも、そんな未来がやって来たと来たのなら、

私は、この世界にいなくとも、きっと感じることが出来るのでしょう。

 

あんなに早くにあなたと離れなければならなかったこの人生にも、

泣きながら、それでも前へと歩んだ日々にも、

全部に意味があったのだと。

 

その時のあなたはきっと、私の隣で優しく微笑んで、

私の髪を撫でながら、

私が聞きたかった言葉をくれるのでしょう。

 

私が初めて、夢を叶えた先で叶えたい夢として、

自由に書き連ねたあの頃の文字を辿ってみれば、

色々あったけれど、幸せだったなって、

誰もがそんなふうに最期を迎えられる場所を作りたいと、

最後に、こんな文字がありました。

 

これは、いつかの私が思い描いたずっと先の未来で叶えたい夢でした。

ですが今回、身近に初めて孤独死を知り、

夢ではなく、将来の目標へと変えて、

此処からをしっかりと歩んで行きたいと思いました。

 

時々には、上手くいかない物事に、大きなため息を吐いては、

ねぇ、あなた。なんでかなって、

こんなふうに弱音を吐いてしまうかも知れないけれど、

私ね、やっぱり、やってみたい。

だからさ、そこから見ていてね。

 

 

www.emiblog8.com

 

 

OFUSEで応援を送る