あなたへ
明確な理由も分からないままに、
私はきっと、もう長くは生きられないのだと思っていたのは、
あなたを見送ったばかりの頃の私でした。
あなたの年齢と並ぶこともなければ、
あの子が大人になる姿を見届けることも、きっと出来ないのだろうって。
新しい明日など、もういらない。
そんなふうにさえ考えていたあの頃の私は、
せめてあの子が社会人になるまではと、初めて生への目標を持ち、
辛くても生きなければいけないのだと、
時には自分に鞭を打つような歩み方でもあったけれど、
無理矢理に自分を奮い立たせては、
一歩ずつをゆっくりと歩みながら、
やがて、明日も生きたいと思える私へと変わっていきました。
何気ない1日を、
掛け替えのない宝物だと思えるようになって、
今日も元気に過ごすことが出来て、幸せだったなって、
新しい明日を楽しみに思いながら、
眠りに就く私へと変わることが出来ました。
今日の私は、あの夏からの続きを、ちゃんと生きることが出来たのだと、
しみじみと、こんなことを考えていました。
あの夏からの私は、1日も欠けることなく、この世界での時間を過ごしながら、
気が付けば、生きたいと思えるようになって、
生きていることに喜びを感じるようにもなったんだなって。
だからね、今日の私は、
今日もこの世界で、掛け替えのない大切な1日を元気に過ごすことが出来たよって、
あなたに、こんな報告をしたいなと思いました。