拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子がくれたお守り

あなたへ

 

あっ、いいね

似合うよ

 

あの子がこんな言葉を掛けてくれたのは、

巣立ち前、部屋の掃除に勤しんでいた頃のことでした。

 

もう着ないけれど、捨てるにはなんだか忍びない。

殆ど着る機会がないままだった服たちを、部屋着にでも使ってと手渡され、

早速、試着をしてあの子に見せると、似合っていると言ってくれたのでした。

 

年上の子から、年下の子へと、

洋服が譲られることをお下がりと呼ぶのなら、

あの子がくれたこれらは、お上がりとでも呼ぶのでしょうか。

 

あの子からのお上がりは、

私には少し大きいですが、その分、

とても動きやすくて、なかなかに気に入っています。

 

あの子が巣立ち、ひとりになってからの私がふと思い出していたのは、

女性の一人暮らしの防犯対策についてでした。

 

男性のものを一緒に、

洗濯物として干すのが防犯対策にも繋がるのだと、

こんな話を耳にしたのは、いつの頃だっただろう。

 

それを耳にした頃の私は、自分には全く無縁の話であると、

そんなふうに考えていた記憶がありますが、

あの頃の私が思い描いた未来とは別な未来がやって来て、

あの頃、耳にした情報は、

今の私にも関係のある情報へと変わりました。

 

あの子が巣立った後の我が家では、

変わらずに、男性ものと分かる洗濯物が紛れています。

 傍から見ればきっと、此処には、

男性も住んでいるように見えることでしょう。

 

似合っているとあの子が褒めてくれたから、

なんだか嬉しくなって、

積極的に、あの子がくれた服を着るようになりましたが、

巣立ち前のあの子が私にくれたのは、

部屋着という名のお守りだったのかも知れませんね。

 

 

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