拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子にとっての正しい道

あなたへ

 

あの時、もしも選ぶ道が違ったら、

ここに通っていたんだね

 

あの子とこんな話をしたのは、

一時のあの子が受験をするかどうかを迷っていた高校の前を、

通り掛かった時のことでした。

 

あれは、あの子の巣立ち前。

あの子の専属運転手として、

一緒に行動することが増えたある日のことでした。

 

あの日の私たちは、あの子が進学する高校を選んだ時の頃からを、

ゆっくりと振り返りながら、思い描いたのでした。

 

もしもあの時、この学校への受験を決めていたとしたのなら、

どんな高校生活を送っていたのかなって。

 

きっとね、その高校へと通ったあの子は、

とても楽しい高校生活を過ごしていたのでしょう。

 

幼い頃から仲の良かった友人が通った高校の直ぐ側であったことにも、

あの子が通った高校よりも、きっと緩やかに進められたであろう授業にも、

あの子はきっと満足したのだと思います。

 

そんな高校生活は、きっと瞬く間に過ぎ行き、

次の進路先を決めなければならない時期までを、

ただ楽しいままで過ごしていたのでしょう。

 

そんなあの子の姿を思い描いてみれば、私たちが辿り着いたのは、

自分の道を見失ったまま、

流されるように次の一歩を踏み出すあの子の姿でした。

 

あの子が通った高校と、

受験をするかどうかを迷った高校との大きな違いを挙げるのなら、

勉強に向き合う時間や内容、質なのだと思います。

 

あの子が通った高校は、大学への進学率が非常に高く、

進学へ特化したカリキュラムの組まれた学校でした。

 

医療関係の道を志していたあの子にとって、

その環境は、最適なものとなるはずでした。

ですがその環境は、入学からあまり時間が掛からないままに、

あの子にとっての苦しい環境となってしまったのです。

 

一見して、ネガティブにも感じられる出来事でしたが、

あの子はきっと、あの環境に身を置くことが出来たからこそ、

違うと感じることが出来たのだと思います。

 

もう二度と戻りたくはないと、

苦笑いをするような時間であったとしても、

あの子が選んだ進学先に間違えはなく、

それはあの子にとっての正しい道であったのだと、

あの頃を振り返った私たちは、こんなふうに考えたのでした。

 

あの子が送った高校生活の中では、

大切な友人との出会いがありました。

 

全てが苦しかったわけではないはずですが、

それでもあの子にとっては、辛く苦しかった時間。

 

あの頃のあの子は、たくさん悩み、たくさん立ち止まっていたけれど、

立ち止まる時間を経験したからこそ、

今のあの子の道を見つけることが出来たと考えることが出来るのでしょう。

そして、あの頃の3年間は、

あの子本来が持つ自由な発想に、より磨きが掛かり、

開花させるための準備の時間でもあったのだと、

私にはこんなふうにも思えました。

 

相変わらず、楽しくやってるよ

最近は、こんなことを頑張っているよ

 

相変わらず、楽しげなあの子の声に耳を傾けながら、

巣立ち前のあの子と話したことを思い出していました。

 

一見して、曲がりくねっていて困難な道を歩んでいたように思えても、

実はあの子は、真っ直ぐに歩んでいたのかも知れませんね。

 

 

 

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