拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

一握りの人たちとの出会い

あなたへ

 

この世界には、本当にたくさんの人たちがいるけれど、

その大半は、きっと互いの今後の人生においても、

何の接点も持たないままに、この世界を去るんだろうな。

 

こんな視点から、道行く人たちを眺めたのは、先日の私です。

 

例えば、事務職と接客業。

私は、両方の職業を経験したことがあるけれど、

密度の詰まった狭い人間関係の世界である事務職とは違い、

一見して、多くの人との出会いがあるようにも思える接客業に関しても、

実は然程多くはない出会いの中で、

その職務を全うしていたとも言えるかも知れません。

 

だって、あの日の私は、

あんなにたくさんの道行く人たちを眺めていたというのに、

ただのひとりも、知った顔を見つけることが出来なかったのですから。

 

私たちは、こんなにたくさんの人たちがいる世界に存在しながらも、

その大半は、実は小さなコミュニティの中に属していて、

人生の中で出会える人など、ほんの一握りに過ぎないのでしょう。

 

この世界に存在するたくさんの人たちの中の、

ほんの一握りの人たちとの出会いでありながら、

その中で出会いと別れを繰り返し、僅かな人間関係の中で、

様々な学びを得ているのだということを改めて考えさせられました。

 

ほんの一握りの人たちとの出会いでありながらも、

人生の中で、本当に深い関わりを持つのは、その中の更にごく僅かな人たちだけ。

 

殆どの出会いには、いつか終わりがやって来て、

全く別な方向を向いて、

それぞれに歩み出す時が訪れるものなのでしょう。

 

それでも、関わってくれた人が見せてくれた色は、消えたりはしない。

きっと、人は誰もがそれぞれに、その人独自の色を持っていて、

関わりを持てたことで、知ることが出来た色は、

確かに胸の中へとしっかりと染まったままで、

やがて別れの時がやって来るものなのだと思います。

 

新たな出会いが訪れた時というのは、

必ず、その時の自分に必要な色を足してくれる人との出会いであるのかも知れません。

偶然を装いながらも、

それはきっと、いつでも絶妙なタイミングで訪れるものなのでしょう。

 

ほんの少しだけ見方を変えてみれば、

実は、自分にとって、

必要な色だけが加わるように出来ているとも言えるのかも知れません。

 

然程長くはない時間の中での関わり合いであったとしても、

景色が一変するような素敵な色を与えてくれる出会いも存在するのでしょうし、

中には、あまり良い印象の持てない出会いであることもあるのでしょう。

 

ほんの僅かな人たちとの出会いであるにも関わらず、

素敵な出会いばかりとは言えないのもまた人生ですが、

きっとそれらも含めて必然的な出会いであり、

そこで見つけた好まない色もまた、

後の自分にとっては、必要な色であったりもするのでしょう。

 

全ては、ある種の運命的な縁で結ばれた相手であったと言うことも、

出来るのかも知れません。

 

私は、この人生の中で、

あとどのくらいの人たちと出会うのだろう。

 

例えば、今の私が、1年前や3年前、

5年前とはまた違った視点からのあなたへの手紙を綴るように、

新たな人たちとの出会いにより、私に見える景色の色は、

これからもきっと様々に変化をし続けるのでしょう。

 

この人生が続く限り、見える景色の色は、様々に変化し続けて、

同じ物事に対する感じ方も様々に変化し続けるのだと思います。

 

きっと、この人生の終わりの日へと近付けば近付くほどに、

私に見える景色の色は、完成へと近付いて行き、

やがて、自分にとっての完成を迎えた時が、

この世界を去る時であるのかも知れません。

 

その時に見ている景色の色は、

生まれる前の自分が見たいと願った景色の色であるのかも知れませんね。

 

思えば、私は初めて、

こんな視点で道行く人々を眺めたような気がします。

 

ねぇ、あなた。

人生って、考えれば考えるほどに、

とても不思議で、なんだか面白いですね。

 

 

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