拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

幸せが続く道

あなたへ

 

ねぇ、あなた。

あの頃は良かったなって、

こんなふうに人生を振り返る言葉があるけれど、本当は、

あの頃も良かったな

なのかも知れませんね。

 

こうして手紙を書くのも、気が付けば7年が過ぎました。

あなたへの手紙として残った私が歩んだ足跡を辿ってみれば、

暖かで柔らかなものが胸いっぱい満ちて、

この人生を生きることが出来て良かったなって、

こんな気持ちを見つけることが出来ました。

 

あの夏のあなたの手を、とても頑張って離したあの瞬間を思い出せば、

胸が痛くて、苦しくて、仕方がないのに、

あれから先の未来で私が見つけた幸せな時間たちは、

それらを振り返った私に、キラキラと輝いて見せた後で、

暖かく柔らかな光をこの胸の中へと注ぎ続けました。

 

それをただ受け入れて、感じ切ってみれば、

私は、あなたと過ごしたあの頃の時間も、

そして、あの夏の先にあるこの時間も、

本当はいつでも、幸せに満ちた時間を過ごしているのかも知れないと、

こんな気持ちにさせられたのです。

 

もしも、あの夏の運命が違っていたのならと、

何度も、あなたが側にいるあの夏の未来を思い描いてしまうけれど、

もしも、この人生を歩んでいなかったとしたのなら、

今の私が集めたものたちは、なにひとつとして、

私の中に存在することはなかったのでしょう。

 

私の中へと存在する幸せな時間たちは、

どれひとつとして、なかったことにはしたくない大切な宝物。

 

どんなに探し続けても、もう二度と、

あなたのその手の温もりをこの世界に見つけることは出来ないけれど、

それでも私はずっと、幸せが続く道を歩み続けていたのかも知れません。

 

そう気付いてみれば、私は初めて、

この人生に対して、愛おしさを感じることが出来たのです。

 

私がきっと、この人生を選び生まれてきたように、

あなたもきっと、その人生を選び生まれてきたのでしょう。

 

あなたは、最期を迎えるその瞬間まで、

幸せが続く道を歩むことが出来ましたか。

 

あなたがこの世界で歩んだ道のりを振り返った時に、

暖かで柔らかな光が、その胸の中をいっぱいに満たしているでしょうか。

 

ねぇ、あなた。

私と出会う人生を選んで生まれて来てくれて、ありがとう。

 

私は、あなたと出会えたこの人生を歩むことが出来て、とても幸せです。

 

私はこの先も、

あなたと出会うことが出来たから見続けることのできるこの景色を大切に、

歩んで行くよ。

 

 

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