拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたによく似た人

あなたへ

 

先日、買い物へ出掛けた先で、

不意に私の目に飛び込んで来たのは、あなたによく似た人でした。

 

この世界にあなたがいるわけがないことを分かっていても、

心臓が勝手に飛び跳ねて。

早鐘のように鳴り響く心臓の音を聞きながら、

違う人だと必死に自分に言い聞かせてみても、

漸く離した視線は何度でも、元に戻されて。

 

あなたがいないこの世界で生きる覚悟など、とっくに決めたはずなのに、

こんな時は、堪らなくあなたに逢いたくなって、

もう一度だけ、この世界であなたに逢うことが出来たら、なんて考えてしまうよ。

 

もしも、もう一度だけ、

肉体を持ったあなたのその手に、その頬に、

触れることが出来たらってさ。

 

不意をついた出来事が起こる度に、

私は何度でも、この世界にあなたを探したくなってしまうけれど、

こんな気持ちも大切に歩んで行ければいいと、

そんなふうに考えられるようになったのは、いつの頃からだっただろう。

 

飛び跳ねた心臓の音がやがて静まれば、

私の中へと蘇ったのは、あなたと過ごした何気ない日常の一コマ。

あのお店へと一緒に買い物に出掛けた時のあなたが、

どんなふうに笑っていたのか。

どんな仕草で、どんな声のあなたが側にいてくれたのか。

 

あの頃の当たり前だった何気ない時間に存在したあなたが見せてくれた、

ただ穏やかだった時間が切り取られて、私の中へと鮮明に蘇りました。

 

あなたによく似た後ろ姿を見つける度に、

あなたの姿によく似た人を見つける度に、

私はきっと何度でも落胆しながら、

もう一度だけを思い描いてしまうけれど、

そんな瞬間も、

そして、その時に感じる痛みも、苦しさも、温かさも全部、

大切に集めながら歩んで行くから、

あなたはきっと何処かで、そんな私を苦笑いでもしながら見ていてね。

 

また俺じゃない人を見ているよ なんてさ。

 

あなたによく似た人を見つけたのは、

久し振りにショッピングモールへと出掛けた日のことでした。

 

あなたが側にいてくれた頃は、よくあなたと一緒に足を運んだ場所だったから、

本当はね、あの頃のあなたが、

そこで待っていてくれたような、そんな気がしてしまったんだ。

 

だって、あのお店は、私たちにとっての特別だったから。

 

 

 

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