あなたへ
こんなところは、変わらないんだな
あの夏からの変わらない自分を見つけて、思わず苦笑いをしたのは、
これで何度目だろう。
あなたによく似た後ろ姿を見つけると、
目が離せなくなってしまうところも、
つい、その顔を確認してしまうところも、
そして、
そうだよねって、ほんの少しだけ落胆した気持ちを見つけるところも、
私は、あの夏から変わっていないようです。
もしも、こんな私を何処かで見ていたのなら、
あなたもきっと、苦笑いをしているのでしょう。
予想外に目の前に現れる物事というのは、
胸の奥に上手に隠した筈だった本当の自分が、
顔を出してしまうものなのかも知れません。
年を重ねたあなたの姿を知らない私の中でのあなたは、あの頃のまま。
私はきっと、この生を歩む限り、
あの夏にいたあなたの姿を、何処かに探してしまうのでしょう。
食料品を詰め込んだエコバッグを片手に、
あの夏から全く変わらない自分を見つけて、苦笑いを繰り返しながらも、
それでもいつか、あの夏にいたあなたを、
この世界に見つけられるような気がしてしまうよ。
不意に見つけるあなたとよく似た後ろ姿に、
胸の奥が僅かに飛び跳ねて、
次に見つけるのは、相変わらず落胆する気持ちだけれど、
そんな時は、きっと何処かで私と同じように、
苦笑いをするあなたの姿を思い浮かべながら、
どんなに時が経っても変わらないこんな瞬間も大切に、
この人生を歩んで行けたらいいなと思っています。
P.S
今日はバレンタインデーです。
愛しています。
小さく呟いた私の声と、
変わらぬ愛を込めたチョコレートが、
きっとあなたのところまで届きますように。
