拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子の休息の場所

あなたへ

 

あぁ、そっか。

私は今、あの頃の私が思い描いた未来を生きているんだな。

 

ふと、こんなふうに気が付いたのは、

年明け前、あの子の帰省を楽しみに待っていた頃の私でした。

 

あの頃とは、そう。

忘れもしません。

夢の中のあなたが、

私に再婚を勧めてきたことがきっかけで思い描いた未来です。

 

あの頃、丁度、専門学生1年生だったあの子の笑顔を見つめながら、

漠然と、あの子が巣立った先のことを思い描いたのでした。

 

あの子が巣立ったら、どんな気持ちがするのだろう。

里帰りをしたあの子との時間は、どんな時間が流れるのかな。

あの子は、どんな大人になるのだろうって。

 

あの子が巣立ち、幾つかのあの子の帰省がありました。

その度に、あの子と一緒にいられることが、ただただ嬉しくて、

あの子の笑顔を集めるだけで精一杯でしたが、

漸く、過去の自分が思い描いた未来を生きていることに気が付いてみれば、

それは私にとって、

巣立った後のあの子にとって、

どんな場所でありたいのかを考えるきっかけへと繋がっていきました。

 

子育ての終盤には、

我が子の中へ出来るだけたくさんのお守りを詰め込む時間が待っているのだと、

いつかの私はこんな手紙を書きましたが、

子育てを終えたらね、今度はきっと、

ただただ甘やかしてあげればいいの。

だって此処から巣立ったあの子は、

自力で成長し、自力で自分の道を切り開いて行くのだから。

そんな日々はきっとね、

自覚のない疲れが溜まるものでもあるのだと思います。

だから、私の元に帰ってきたのなら、ただただ甘えたらいい。

また日常生活へと戻ったあの子が、元気に前へと歩めるように。

 

巣立ったあの子にとって、

私は、そんな場所でありたいと思いました。

 

きっとね、

いつの間にか、手を繋ぐことがなくなってしまったように、

いつの間にか、教えてあげられることがなくなってしまったように、

こんな時間もまた永遠に続くわけではなくて、

あの子の成長と共に、いつかはこんな時間にも、

終わりが来てしまうものなのだと思います。

 

だからその時までは、

私はあの子の休息の場所であれたら良いなと思いました。

 

さて、楽しい時間というのは、

いつでもあっという間に過ぎ行くものです。

 

存分に甘えなさいね

 

帰宅当日に、あの子へこんなふうに声を掛けたのが、

つい先程であったかのようにも感じてしまいますが、

今日の夕方にあの子はこちらを出発し、またいつもの日常生活へと戻りました。

 

今回はあの子が巣立ってから初めて、1週間という長い帰省でした。

相変わらずに、出たり入ったりと、忙しないあの子でしたが、

かつては日常だった、行ってらっしゃいやおかえりの挨拶が出来たことも、

なんだか嬉しかった時間でした。

 

非日常であることを理解しながらも、

日常であるかのように錯覚してしまうには、

十分な長さをあの子と一緒に過ごした私は今、

ほんの少しだけ、

いえ、本当はね、

もの凄く寂しいなって、

広くなった部屋を、何度も見回しているけれど、

あなたの分までこの気持ちを味わし尽くしたら、

また元気に、私は私の日常を歩んで行きたいと思います。

 

 

 

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