あなたへ
10年前のお正月は、お父さんも一緒にいたんだね
10年前の元日を静かに振り返っていたのは、
年が明けてからの私たちでした。
ねぇ、あなたは覚えていますか。
10年前、2014年の始まりの日の私たちは、スノーボードへ出掛けましたね。
あの日も、綺麗な青空が広がった日でした。
あなたとあの子と私。
雪山で見上げた空の色を、今でもよく覚えています。
スノーボードを存分に楽しんで、山の麓でちょっと一休み。
自販機の上、
高い屋根から垂れた大きな氷柱を見上げたことを覚えていますか。
見たこともない長さの氷柱に圧倒されて、
あの子と私は、思わずその姿に見入ってしまったけれど、
氷柱の下に立っていたら危ないよって、
あの時のあなたは、
あの子と私を危険のないところへ移動させてくれたのよ。
手袋を外せば直ぐに手が悴んで、
思わず握り締めた手に温かな飲み物を渡してくれたあなた。
とても寒かったけれど、青空の下で飲んだ温かな飲み物は、
特別に美味しかったですね。
この2024年の始まりの日には、
丁度10年前に見たワンシーンが鮮明に蘇って。
あの日見た景色も笑顔も、全部覚えてる。
あの日は、全部が楽しかった1日でした。
ねぇ、あなたは覚えていますか。
あの日、3人で見上げた空の色を。
あの日、聞こえた家族3人分の笑い声を。
10年前の元日の私たちは、この世界で一緒に笑っていたね。