あなたへ
冬には忘れてしまうかも知れないからと、
冬が来る前に夜のピクニック(風)へと出掛けたのは、
冷たい風を感じ始めた頃の私でしたが、
冬を迎えても、しっかりと夜のピクニックを覚えていたのは、
あの時間が私にとって、とても楽しかったからなのかも知れません。
暗くなった空を見上げて、幾つかの星を見つけた私は、
今夜は夜のピクニック(風)へ出掛けようと思い立ちました。
場所は、あの日の場所です。
あの日と同じように、車内でのひとりピクニック(風)を楽しんだ後で、
外に出て、空を見上げてみれば、たくさんの星を見つけることが出来ました。
あの頃のあなたが言っていた通り、
冬の方が、星が綺麗に見えるんだね。
視界を遮るものが何もないあの場所は、広い空が見える場所。
見上げた空一面に光る星たちを見つけた私は、
あの頃のあなたの言葉を思い出していました。
それから、
キラキラと光る星たちに混ざるように、飛行機も見つけました。
夜の飛行機は、なんだか星が飛んでいるみたいで、とても綺麗だね。
もしも今夜、あなたと話をすることが出来たのなら、
こんな私の声に、どんな言葉を返してくれたのでしょうか。
冬の夜の風は、とても冷たかったけれど、
今夜は、なんだかとても素敵な夜を過ごすことが出来ました。
ねぇ、あなた。
初めて夜のピクニック(風)へと出掛け日の私は、
たくさんの今度の約束をしたけれど、
その頃のこの世界では、どんな夜空を見ることが出来るのだろう。
今日の私がひとりで見上げた空と同じ空を、
今度はあなたと一緒に見上げることが出来るのかな。