あなたへ
この世界に誕生したあの子が、
初めて私たちにくれた小さな温もりを、
あなたは覚えていますか。
あの子は、この世界に誕生した日から、毎日、少しずつ成長しながら、
毎日、毎日、今しか感じることのできない可愛さを、
私たちに見せ続けてくれましたね。
今日の私は、
小さなあの子を初めて抱いた日からこれまでを、
順番に思い出していました。
笑うことを覚えたあの子を、
あなたを初めてパパと呼んだ日のことを、
あなたの後ろをついて回った小さなあの子を、
なんでもあなたの真似をしたがったあの子を、
覚えていますか。
幼稚園バスに憧れたあの子。
入園式で元気な返事を聞かせてくれたあの子。
お友達と楽しそうに遊ぶあの子。
卒園式の日は、
また明日からも園生活が続くかのように、
いつもの挨拶で、あっさりとしたお別れをしたあの子。
ランドセルを見つめながら、
小学生になれる日を楽しみにしていたあの子。
小学校の入学式では、スーツに身を包んだあの子の姿が、
本当に可愛かったですね。
幼稚園でのお友達とは、通う学校が離れてしまったけれど、
小学校であの子に待っていてくれたのは、たくさんの新たな出会いでした。
いつの頃からか、よく遊ぶようになったあの頃のお友達は、
今でもあの子の特別なお友達です。
ランドセルを背負うあの子の後ろ姿は、
少しずつ、少しずつ、逞しくなっていきました。
小学校の6年間は、長いように思えても、
過ぎてしまえば、なんだかあっという間。
授業参観、運動会、お祭り。
学校行事を通して、
たくさんの成長を見せてくれたあの子は、立派に小学校を卒業しました。
学ランに身を包んだあの子の姿に、
思わず息を飲んだのは、中学校の入学式。
人生における節目というのは、本当に大きな成長を感じるものです。
同じ季節に迎えた初めての運動会は、
あなたと一緒に見た最後の学校行事でした。
ねぇ、あなた。
あの子は生まれた日から、
毎日毎日、どんな時も、とても可愛かったですね。
中学生になったあの子の初めての夏休み。
あなたは、そちら側へ旅立ちました。
あの夏のあなたが見ていた12歳だったあの子は、
あなたの胸の中で今、どんなふうに笑っていますか。
あなたを見送り、
どこが前であるのかさえ分からなくなって、
座り込んだ私の側に寄り添ってくれていたあの子。
あの子の動きがあまりにも面白すぎて、大笑いした私の笑顔を見て、
嬉しそうに笑ってくれたあの子。
私が手作りしたキャラクターのバースデーケーキを、
本当に嬉しそうに眺めていたあの子。
反抗期を迎えたあの子。
反抗期でありながらも、いつでも優しかったあの子。
学校行事や習い事。
様々な場面で、その大きな成長を見せ続けてくれたあの子。
中学校の卒業式では、低く立派なあの子の声が聞こえました。
志望した高校の合格発表があった日のあの子は、
本当に嬉しそうに笑っていました。
高校の入学式の日に写真に収めることが出来たのは、
仏頂面のあの子。
学校を辞めたい
こんな気持ちを抱えたあの子と向き合った日々。
新たな将来の夢を見つけたあの子。
あの時、学校を辞めなくて良かったと、
清々しく笑ったあの子。
高校の卒業式の日にあの子が私にくれたのは、
これまで苦労して良かったと、
そう思える3年間へと変えてくれた言葉でした。
こちら側の事情から、入学式が出来ないままに、
少しずつ始まった専門学生生活でのあの子は、
本当に生き生きとした姿を見せてくれました。
勉強に向き合うあの子。
新たな挑戦に取り組むあの子。
どんな困難にも、負けずに向き合うあの子。
将来の夢を語って聞かせてくれたあの子。
あなたを見送ってからのあの子も、
毎日、毎日、どんな時もとても可愛かった。
3年間の専門学生生活を経たあの子は、
私の腕の中を、色とりどりの綺麗なお花でいっぱいに埋め尽くし、
此処から巣立って行きました。
21歳の誕生日を迎え、間も無くに此処から巣立ったあの子は、
自分の道をしっかりと歩み出し、
巣立ったからこそ感じさせる大きな成長を、
幾つも見つけさせてくれました。
もう、あの子の成長を、すぐ側で見守ることは出来ないけれど、
時々掛かってくる電話の声や、
非日常となったあの子との時間に、
あの子が私に見せてくれたのは、
やはり、今しか感じることの出来ない可愛さでした。
生まれた日から、毎日、毎日、
今しか感じることのできない可愛さを見せ続けてくれた、
私たちの大切なあの子は、今日、22歳になりましたよ。
あの子は今日も、自分の道をしっかりと歩んだようです。
22歳のあの子は、どんな成長を、どんな可愛さを見せてくれるでしょうか。
これからも、とても楽しみですね。
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