拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

大切な人に最後に求めるもの

あなたへ

 

あなたが最後に親御さんと手を繋いだのはいつですか?

あなたが次に親御さんの手を握るのはいつだと思いますか?

それはね、親御さんが亡くなった時なんですよ

 

これは、先日の私が偶然耳にした言葉です。

 

この言葉を聞きながら、私は、

あなたが我が家に作ってくれた挨拶が、

どれだけ価値のあるものなのかを改めて考えていました。

 

抱っこをすることが当たり前だったはずのあの子はやがて、

私たちの腕の中から卒業し、

手を繋いで歩くことが当たり前だっなはずだったあの子はやがて、

私たちと手を繋いで歩くことも卒業していきました。

 

それでも我が家には、

あなたが作ってくれた挨拶が存在し続けて、

当たり前に互いの温もりに触れ合う瞬間が存在し続けています。

 

あの子が巣立ちの日を迎えるまでの日々。

そして、帰省からまた互いの日常へと戻る時も、

あなたが作ってくれた挨拶をすることが、

私たちにとっての当たり前です。

 

あの子が巣立ちを迎え、

改めて、これからの私が、

ひとりで生きることについてを様々に考えてみれば、

あの子が側にいない日に、私がこの世界を去る確率は、

決して低くはないと言えるのだと思います。

 

でもね、もしもこの人生の最後の日に、あの子が側にいなくとも、

あの子の手の中には、

最後にハイタッチをした瞬間のこの手の温もりが蘇ることでしょう。

 

そしてきっと、あの子が側にいないままにその時を迎えた私もまた、

最後にハイタッチをした日のあの子の温もりをこの手の中に感じながら、

目を閉じるのでしょう。

 

私たちがあなたの最期に、その手の温もりを求めたように、

そして、

祖母の温かな手を握ったように、

父の温かな手を握ったように、

人が大切な人に最後に求めるのは、

その人の温もりであるのかも知れません。

 

誰も、この世界を去る瞬間が、

どんな状況であるのかを選ぶことは出来ないけれど、

だからこそ、生きている今、

あなたが作ってくれた我が家の挨拶を大切にしていきたいなって、

こんなことを考えるきっかけとなった言葉を、

先日私は見つけることが出来たのだと思います。

 

我が家の挨拶を作ってくれた頃のあなたは、

想像していましたか。

 

その挨拶が、未来の私たちにとって、

どれだけ価値のあるものとなっていくのかを。

 

あなたはやっぱり、本当に凄い人ですね。

 

 

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