拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

幻だったかのように感じてしまう瞬間

あなたへ

 

私に笑い掛けるあなたの姿。

私を呼ぶあなたの声。

その大きな手に包まれるように繋いだ手の温もり。

 

小さなあの子を愛おしそうに見つめるあなたの姿。

幼かったあの子と楽しそうに遊ぶあなたの姿。

 

あの頃の瞬間、瞬間にいた、

あなたひとつひとつを、鮮明に思い出していました。

 

確かにこの人生には、あなたとの出会いの日があって、

この人だ、やっと逢えたと感じた瞬間がありました。

 

私たちは確かに、

この世界で一緒に過ごしていた時間がありました。

 

それなのに、あの夏が遠くなればなるほどに、

時に、あの時間全てが幻だったかのようにも感じてしまうから、

私は、そうしたくなった時には、

あの頃にいたあなたが見せてくれた瞬間、瞬間を振り返り、

そこにいるあなたを見つめてみます。

 

ねぇ、あなた。

どうして、生には終わりがあるのだろう。

どうしてこの世界には、永遠が存在しないのだろう。

 

その問いに対する答えなど、分かりきっていながらも、

分からない振りをしながら、そこにいるあなたに問い掛けて、

その頬に、その髪に、そっと手に伸ばしてみれば、

そこにいるあなたはいつでも、私がよく知る感触をくれるから、

私はただ安心して、そこにあるあなたの温もりに身を委ねながら、

確かにこの人生の中に、

あなたと過ごした時間が存在していたことを確認し、

胸の奥にある本当の気持ちを感じ切るのです。

 

あなたと過ごした時間が、

不意に幻だったかのように感じてしまう瞬間が訪れるようになったのは、

いつからだっただろう。

 

あなたと過ごしたあの頃を過去には出来ないとしながらも、

不意にこんな気持ちを感じるのは、

この世界の時間の流れの中に生きるからこそ起こる矛盾であるのかもしれません。

 

こんな時の私は、この世界に流れる時間に対して、

残酷さを感じてもしまいますが、

こんな気持ちもまた、

この人生でしか感じることの出来ない気持ちであると、

捉えることも出来るのかも知れません。

 

本当は知りたくなどなかったとしながらも、

知ってしまった痛みは時間を掛けて、

私に様々な感情を芽生えさせました。

 

物事は、きっといつでも表裏一体。

いつの頃からか感じるようになったこの気持ちと向き合い続けてみれば、

きっといつの日か、

私はまた別な何かを見つけることができるのでしょう。

 

 

 

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