拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

22年前の記憶

あなたへ

 

何気なくテレビを見た私の目に飛び込んで来たのは、

生まれたての小さな赤ちゃんを抱いているシーンでした。

 

あの子にもこんな頃があったなって、記憶を辿れば、

鮮明に蘇ったのは、あの子が生まれた日のことでした。

 

初めて抱いた小さな小さなあの子の温もりと匂い。

この世界の明るさに、眩しそうに顔をしかめるあの子の姿。

小さな手足。

 

生まれたての小さなあの子は、

ただただ全部が可愛かったですね。

 

そうそう。

あの日のあなたったら、

生まれたてのあの子の小さな足の裏を擽ったのよね。

 

小さな足の裏を優しく擽ったあなたは、

擽ったそうに足を動かすあの子の姿を、愛おしそうに見つめていましたっけ。

 

あの日は私たちにとって、更なる幸せの始まりの日でした。

 

あの子が元気に生まれてきてくれたことが嬉しくて、

ただ目の前にある幸せを2人で噛み締めましたね。

 

間も無くあの子は、22歳の誕生日を迎えます。

22年前の今頃の私たちは、

あの子に会える日を、とても楽しみにしていましたね。

 

蘇った記憶を辿れば、

早くおいでって、あなたの声が聞こえた気がして。

 

そう。あの声は、

私のお腹の中にいるあの子へ向けた22年前のあなたの声。

 

あれから先の未来の私たちは、あの子がお腹の中で、

あなたの声を、ちゃんと聞いていたことを知りましたね。

 

もう、今のあの子の記憶の中には、

22年前のあなたの声は残ってはいないけれど、

22年前のあの子は、

確かにあの頃のあなたの声を聞いていたんだね。

 

テレビに映るワンシーンから蘇った記憶を辿りながら、

今日の私は、あの頃にいたあなたの笑顔を見つめていました。

 

私たちは、とても幸せな時間を歩みましたね。

 

 

 

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