拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

コトバ -家族3人の時間-

おかえりなさい

待っていたよ

 

コーヒー淹れるね

一緒に飲もうよ

 

そうだ

冷凍庫にアイスクリームが入っているよ

もう食べた?

 

あの子

大きくなったでしょ?

筋トレ頑張っているんだよ

 

それから勉強も

とても頑張っているよ

 

今日は何が食べたい?

 

ねぇ

一緒に買い物に行こうよ

 

あなた

ご飯出来たよ

 

これはね

あなたのお母さんに教わった料理

きっとあなたも気に入るはずよ

 

おやすみ

また明日ね

 

おはよう

ゆっくり休めた?

 

洗濯物を干してくるね

今日も外はすごく暑いよ

 

ねぇあなた

向こう側の世界はどんな世界?

あなたは何をして過ごしているの?

 

ねぇあなた

愛してるよ

 

お盆には

その姿が見えないままの彼に

いつもよりもたくさんの言葉を掛ける

 

そうして

彼の声が聞こえる気がして

静かに耳を澄ましてみる

 

ただいま

 

うん

愛情たっぷりでお願いします

 

え?アイスクリームあるの? 

 

うん大きくなったね

俺より腕が太くなっていて驚いたよ

 

あの子は大丈夫

俺は心配なんてしてないよ

 

にんにくが入ったものが食べたい

 

いいよ

行こうか

 

いただきます

 

おやすみ

 

おはよう

よく眠れたよ

 

ちゃんと水分摂った?

 

いいところだよ

楽しくやってる

向こうでは皆がのんびりと過ごしてるよ

 

・・・

 

 

え?

最後の言葉だけが

聞こえなかったけれど

彼はなんて言ったのだろう

 

お盆になると

あの夏に途絶えてしまったはずの

家族3人の時間が此処に静かに動き出す

 

あなた

おやすみ

また明日ね

 

静かに声を掛けながら

もう一度

耳を澄ましてみる