拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの夏の私が初めて持った目標

あなたへ

 

あの子が社会人になるまでは。

 

これは、あなたを見送った私が初めて持った、

生への目標でした。

 

まだ此方に来てはいけないよ

 

夢の中、こんなふうにあなたに言われたのは、

あなたを見送ってから、どれくらいが経った頃だっただろう。

 

あなたがいないこの世界で、

生きることに前向きになることが出来なくなったあの頃の私は、

あの子の笑顔を見つめながら、

そして、夢の中であなたがくれた言葉を反芻しながら、

やがて、初めて目標を持ったのでした。

 

あの子が社会に出るまでは、生きなければならないと。

 

それは、私が生まれて初めて持った、

生への目標でもありました。

 

あの子が無事に、入社式を迎え、

晴れて社会人となりました。

 

あんなに小さかったあの子は、本当に立派に成長してくれたんだなって、

改めてあの子の成長に喜びを感じながら、

私は、今此処に、

あなたを見送ったばかりの頃の私が立てた目標を達成することが出来たのだと、

喜びとも、達成感とも取れる気持ちで、

あの夏にいた私を想いました。

 

この目標を持ったばかりだったあの頃の私にとって、

遥か遠くにあったはずの目標を、私は成し遂げることが出来たんだなって。

 

生きることに対して、前向きな気持ちにはなれずにいたあの頃の私は、

あれから、ゆっくりと歩みながら、

やがて、

あの頃の私が知らなかった景色を知り、

あの頃の私が知らなかった涙を知り、

気が付けば、私の胸の中には、

あの頃の私がまだ持っていなかった大切な思い出が、

たくさん詰まりました。

 

あんなに小さかったあの子が、立派に成長してくれたように、

あんなに後ろ向きだった私もまた成長し、

今、この景色を見ることが出来ているのだと、

改めて、此処にある景色を眺めてみました。

 

あの頃の私が初めて持った目標を此処に成し遂げることが出来たのは、

そっと静かに、私を支えてくれたあなたと、

いつでも笑顔にさせてくれるあの子の存在があったからでした。

 

私は、素敵な家族に恵まれて、

こうしてひとつ、大きな目標を達成することが出来ました。

 

此処まで私を支えてくれたあなたにも、

あの子にも感謝しながら、

これからも私は、この生を大切に歩んで行くよ。

 

 

www.emiblog8.com