拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

桜の木が並んだ土手の上 -2023-

あなたへ

 

今日のこちらでは、朝から綺麗な青空が広がりました。

 

気持ちの良い空を見上げながら、

ふと、あの場所へ行ってみようと思い立ったのは、

昨年の丁度、今頃の時期に、あの場所へ訪れた記憶が蘇ったからでした。

 

あの場所。

それは、いつかあなたと一緒に歩いてみたかった、

桜の木が並んだ土手の上です。

 

今年はもう、桜の時期は過ぎてしまいましたが、

あの場所は、桜の時期を過ぎても、私にとっての素敵な魅力のある場所。

 

今年の私も、きっとあの場所に、

新しい素敵なものを見つけられるのかも知れないなって、

こんな期待を込めて、あの場所へと出掛けました。

 

今日のあの場所に見えたのは、夏の色へと変わり行く途中の桜の景色。

きっと今年も、満開の桜の景色の頃には、

たくさんの人たちで賑わったであろうあの場所の今日は、

日曜日であるにも関わらず、人も疎で、とても静かでした。

 

少しだけ風が冷たかったけれど、空がとても綺麗で、

川の音も、穏やかな風が鳴らす音も心地が良くて、

のんびりと、何処までも、土手の上を真っ直ぐに歩きながら、

そこから見える景色を楽しみました。

 

毎年の私が途中で引き返してしまう場所よりも更に先へと歩いてみれば、

やがて私が見つけたのは、菜の花が放つ鮮やかな色でした。

 

桜と菜の花が咲く景色の写真を撮ってみたい。

 

これは、いつの頃からかの私が密かに持った小さな夢でした。

 

こんなところに、私の夢を叶えてくれる場所があっただなんてねって、

思わず思い描いたのは、

来年の此処に、きっと見えるのであろう景色でした。

 

今年の桜の時期の私は、あの子と一緒に、とても忙しい時間を過ごしましたが、

来年はきっと、

桜と菜の花の景色を写真に収めることが出来るのでしょう。

 

こんな場所を見つけたよってメッセージと共に、

ピンク色と黄色の鮮やかな景色の写真をあの子に送ったのなら、

あの子は、どんなメッセージを返してくれるのだろう。

 

来年の楽しみをひとつ見つけた私は、

初めて見つけた菜の花の景色を眺めながら、

今年の春の始まりの、

慌ただしくて、楽しかったあの子との時間を思い返しました。

 

忙しなく過ぎ行く日々だったけれど、どの日の記憶を思い返してみても、

本当に素敵な宝物ばかりが詰まった時間でした。

 

周りの景色よりも、

あの子の笑顔ばかりが記憶に残る春の始まりなど、

きっともう、この人生の中に訪れることはないのでしょう。

 

きっとね、

来年の私も、

再来年の私も、

あの場所で、

満開の桜の景色を、ひとり、思うままに楽しみながら、

あの子と過ごした慌ただしい春の始まりを思い出すのよ。

本当に、楽しかったなって。

 

私の胸の中に詰まった掛け替えのない宝物は、

きっと、桜の咲く景色と共に、何度でも鮮やかに蘇るのでしょう。

 

 

 

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