あなたへ
あっ、これならいけるよね
私、頑張ったよね
うんうん
頑張ったよ
これは、鏡の向こう側の私との会話です。
デブパンツ。
あの子に、こんな失礼な名を付けられてしまったのは、
買ったばかりだった冬用の暖かなワイドパンツでした。
別のを買ったら？ってこんなあの子の言葉に闘争心を燃やし、
偶然出会った動画と一緒に、ストレッチを始めて。
時には休んでしまうこともあったけれど、
長くストレッチを続けて来ることが出来たのは、
高い効果を感じられたからなのだと思います。
ストレッチを始めたばかりだったあの頃の私は、
きっとすぐに、
このワイドパンツを履きこなせる日がやって来るのだろうと考えていましたが、
自分の目標へ到達するよりも先に、次の季節がやって来てしまったのでした。
季節は巡り、次の冬がやって来て、
今度、履いてみようかなと、確かにそう考えていたはずなのに、
やがて私の中から、その存在がすっかりと抜け落ちてしまったのは、
あの子の巣立ちを間近に控え、
これまでに経験したことのなかった時間を過ごしていたからなのかも知れません。
掃除をしながら、
あのワイドパンツを見つけた今日の私が急遽開催したのは、
ひとりファッションショーです。
この時期に冬用の服を着るという、
ちょっとだけ暑苦しいファッションショーでしたが、
そんな時間の中で私が見つけたのは、日々の努力の結果でした。
こうして振り返ってみれば、あの子のあの言葉があったから、
そして、きっとあなたがあの動画を私に紹介してくれたから、
今の私が此処にいるのだと思います。
あの頃のことを思い返せば、なんだか笑ってしまいますが、
2人のお陰で、次の冬の季節を迎えるのが楽しみになりました。
