拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

何も考えない時間

あなたへ

 

朝起きて、窓を開ければ、

部屋の中へと届くのは、身震いするほどの冷たい空気。

気が付けば、金木犀の香りが届く時期も終わりを迎え、

ここ最近のこちらでは、急に寒さを感じられるようになりました。

 

あまりの寒さに、先日、ホットカーペットを出して冬支度を整えましたが、

今日は風もなく、とても穏やかで温かさを感じられる日中でした。

 

ベランダに出て、柔らかな日の光を浴びてみれば、

私の中に浮かんだのは、

そうだ。散歩に出掛けよう!ってこんな気持ち。

これまでずっと、脳内だけが大忙しだった私ですが、

今日は、何も考えない時間を作ってみようと思い立ちました。

 

早速、いつもの公園へと出掛けてみると、

前回、散歩に出掛けた時にはまだ青かった銀杏の葉が、

すっかりと色を変え、季節の移り変わりを感じました。

 

雲ひとつない青空と、この時期の銀杏の葉の色がとても綺麗で、

暫くの間、足を止めて、そこにある色を楽しみました。

 

今日の私は、敢えて何も考えない時間を作るはずでしたが、

景色を楽しみ、日当たりの良い場所へと座って空を見上げてみれば、

ふと蘇ったのは、

何も考えないって難しいよねって、いつかのこんな言葉でした。

 

何も考えないと決めてみると、

何も考えないということを考えてしまうよね

それって結局、何も考えないということを考えているんだよね

 

こんな話をして笑ったのは、いつのことだっただろう。

 

これはきっと、あなたと出会う前の私の記憶。

何からそんな話になったのか、

何も考えない難しさについてを語りながら、誰かと笑った日がありました。

 

これまでの私の歩みを振り返ってみれば、

ボーッと空を見上げた日もあれば、

何も考えずに、ただ宙を見つめた日もあるけれど、

意識的に何も考えないことに集中するというのは、

実はとても難しいことであるのかも知れません。

 

今日の私は、何も考えない時間を作ろうと、散歩に出掛けてみましたが、

ふと蘇った記憶に、笑いが込み上げてきて。

何も考えない、

ということについてを考えながらの散歩の時間となってしまいました。

 

家から一歩外に出る時には、必ずマスクをするという一時の日常が去り、

此処にあるのは、マスクをせずに散歩が出来る日常。

何も考えないということについてを考えながら、

どうにもこうにも笑いが込み上げてきてしまった今日の私は、

どんな顔をして歩いていたのだろう。

 

もしも自分が思っているよりも、口角が上がり過ぎていたのなら、

誰にも見られていなかっただろうかと、

今更ながら少しだけ心配しています。

 

 

 

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