あなたへ
先日の私の中に突然に蘇ったのは、
子供の頃に体験した不思議な出来事でした。
今日はあなたにも、
あの不思議な出来事を話してみたいと思います。
あれは私がまだ、小学生の頃のことでした。
あの日は、当時の私のお気に入りだったリボンのブローチがついたスカートを履いて、
お出掛けをした日でした。
家を出る時も、お出掛けをしている時も、
確かにスカートにはブローチが付いていた筈だったのに、
家に帰り、ふとスカートを見下ろすと、
そこにあったはずのブローチが無くなっていたのです。
あのお気に入りのスカートは、私にとって、
リボンのブローチが付いているからこその完成形であり、
全てが整った形となって初めてお気に入りと呼べるものでした。
酷く未完全に見えたスカートの姿に落胆し、すぐさま外へと探しに出掛けましたが、
自分が通った道を辿っても、何処にもリボンのブローチは見当たらずに、
更に落胆した気持ちで、何気なくポケットに手を入れた私の指先に触れたのは、
なんと探していたブローチだったのです。
狐につままれるとは、まさにあのようなことを指すのでしょう。
絶対に有り得ない場所から見つかったブローチを見つめながら、
自分に何が起こったのかが理解出来ないままに、
それでも、ブローチが見つかった安堵感と共に、
あれからの私は嬉々としながら帰宅することが出来たのでした。
人生の中では時々ね、あり得ないことが起こることもあるんだよ
それはね、神様から守られている証拠なんだよ
突然に蘇った記憶を辿ると、
最後に聞こえたのは、誰かのこんな声でした。
あの、ブローチがポケットから見つかった出来事へ対する言葉であることは、
間違いないのですが、
いつ、誰から貰った言葉であるのかが思い出せないままに、
男性とも女性とも分からない声が聞こえたのです。
これまでの私の中には、
幾つくらいの記憶が突然に蘇ったでしょうか。
何の前触れもないままに突然に蘇った記憶を辿る時というのは、
いつでも不思議な気持ちがしますが、
突然に蘇る記憶というのは、
今の自分へ向けた何かしらのメッセージやヒントが隠れているのだと、
何処かでこんな言葉を聞いたことがあるような気がします。
あの、絶対に有り得ない不思議な出来事も、蘇った声も、
今の私に必要なものだったのかも知れませんね。