拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

2020-01-01から1年間の記事一覧

普通に歩ける素晴らしさ

あなたへ 足を怪我しました こんな手紙を書いたのは、5月のことでしたね。 痛みが引いては、また痛くなる。 そんなことを繰り返しながら、 裸足であれば、痛みはないけれど、 靴下や靴を履くと、激痛が走ることが当たり前の毎日へと変わっていったのは、 い…

誓いの言葉

あなたへ 病める時も 健やかなる時も 富める時も 貧しき時も 妻として愛し敬い 慈しむ事を誓いますか これは、私たちの結婚式の時の、誓いの言葉。 あの日、私の右側から聞こえたあなたの声は、 今、思い出しても、なんだか笑ってしまうくらいに、 とても大…

今できる今度の約束

あなたへ お盆が明けて、 そちら側へ帰ったあなたの楽しそうな様子を思い浮かべたのは、 昨年のお盆が過ぎた頃のことでした。 お盆のお土産をみんなで持ち寄って、 『お盆明けのパーティ』 そんなイベントがあるかも知れないなって。 あの日の私は、浮かない…

盆明けの日の温もり

あなたへ 昨夜の、少し遅い時間のことでした。 あの子と他愛もないお喋りをしていると、 突然にあの子が言いました。 あれ?お線香の匂いがする って。 私は、お線香の匂いを感じることはなかったけれど、 あの子の言葉のすぐ後に、背中がとても温かく、 あ…

静かなお盆

あなたへ 今年のお盆も、帰って来てくれて、ありがとう。 今年の我が家は、どうでしたか。 ゆっくりと、寛いでくれたでしょうか。 お盆初日から、連日に渡り、 見上げた空には、龍に似た形の雲を見つけました。 それは、 その姿が見えなくなってしまった代わ…

コトバ -幸せな人-

私は とても幸せな時間を知っている 好きな人が出来たの 友人にそう報告する直前の 胸の奥が擽ったい瞬間を知っている 好きな人からの連絡を待つ時間は なんだかソワソワと落ち着かなくて 着信音が聞こえた時には ほんの少しだけ胸の奥がキュッてなる そんな…

お盆 -2020-

あなたへ 甘い缶コーヒー 炭酸飲料 お菓子 特に、チーズ味のスナック菓子と、 アーモンドが入ったチョコレートは外せませんね。 そうそう、海老の絵が描いてある、あのお菓子も、好きでしたね。 それから、 先日約束していた、大きい缶に入ったパイナップル…

コトバ -カウントダウン-

7 6 5 4 3 2 1 0 これは誰にも話したことのない 8月8日で止まるカウントダウン 私の中に このカウンターが設置されたのは 彼が亡くなった翌年のことだった カウントダウンが始まると 私にまとわりつく夏の暑さに 息が出来なくなるような苦しさを覚える 目の…

あの頃のあなたに逢いに

あなたへ 昨日のあなたの命日は、 あの子と2人で過ごしました。 昨年も、一昨年も、あなたの命日には、家族で過ごす日として、 あの子と2人で、外出をしましたが、 今年は、コロナウイルスの影響から、家の中で過ごすことにしました。 何をしようか こんなあ…

あなたを想う日 -2020-

あなたへ いつもよりも早くに目が覚めた私は、 朝から空を見上げながら、 あなたのことを想っていました。 あなたを見送ってから、今日で6年が経ちました。 私にとって、この6年間を、 もう、と表現すべきなのか、 まだ、と表現すべきなのか、 相変わらずに…

コトバ -夏の音-2020

今年もまた夏が来たよ 待ちわびた青空を見上げながら 空の彼方にいる彼に 夏の始まりを報告する 梅雨明けの太陽が やけに眩しく感じたのは ずっと 雨や曇り空ばかりを眺めていたせいだろうか 夏の音を聞きながら 目を閉じると 彼と出会った最初の夏から順番…

短い夏休み

あなたへ 夏休み、お盆だけになるかも知れないんだって あの子から、こんな話を聞いたのは、 学校への登校が始まり、間も無くの頃のことでした。 コロナウイルスの影響により、入学式もないままに、 オンライン授業から始まった、専門学生としての新しい生活…

あなたの場所

あなたへ ねぇ、あなた これ、気に入った? 素敵だよね 色合いも、大きさも、高さも、全部、丁度いい きっと、あなたも、気に入ってくれたよね 先日からの私は、 何度、あなたにこんな言葉を掛けたでしょうか。 七回忌の法要を、行わないと決断した私たちで…

想いがあれば

あなたへ 本当なら、今年は、あなたの七回忌の法要を行う予定でした。 あなたにとっても、私たちにとっても、大切な節目を迎えますが、 私が、悩んでいたのは、コロナウイルス感染症のことでした。 非常事態宣言が解除されたのは、5月のこと。 まだまだ油断…

夏の始まりの日

あなたへ こちらでは、漸く、梅雨が明けました。 昨日までの雨や曇り空の毎日が嘘のように、 今日は、朝から、とても綺麗な青空が広がりました。 青空を眺めるのが、ただ、嬉しくて、 今日の私は、朝から何度も、ベランダに出ては、空を眺めました。 私は、…

2014年7月31日(木)16時36分

あなたへ 16時36分 6年前のこの時間の私は、仕事をしていました。 6年前のこの時間のあなたはね、 病院内のコンビニエンスストアで、買い物をしていたの。 あなたは、覚えていますか。 丁度、6年前のこの世界には、 あなたには、あなたの時間が、 私には私の…

言葉に出来ないままに

あなたへ あなたに手紙を書きながら、 これまでに、 私は、何度こうして、手を止めたでしょうか。 あなたへの、たくさん想いを抱えたままで、 一段と、大きく聞こえるようになった蝉の鳴き声を聞いていました。 あなたに、伝えたいことは、山ほどあるのに、 …

2

あなたへ 俺ね、2がいちばん好きな数字なの 唐突に、こんな話を聞かせてくれたのは、 あの子が、高校生の頃のことでした。 理由は、よく分からないけれど、 数字の中で、2が、いちばん好きなのだと、 こんなあの子の話を聞きながら、 私の中で蘇ったのは、い…

KANATA

あなたへ 幽霊の夢を見たよ 眠りから覚めたあの子が、聞かせてくれたのは、 つい数分前まで見ていた夢の話でした。 あの子が通う学校の先生が、心霊スポットへ行ったところ、 幽霊がついてきてしまった。 その夢は、こんなシチュエーションから始まったそう…

コトバ -隔てるもの-

彼が此処にいないなんて嘘だよ 目を閉じれば 必ずそこにいてくれる彼に 必死で手を伸ばしたことは これまでに何度あっただろう 瞼の向こう側にいる彼が 消えてしまわないようにと ギュッと目を閉じたことは これまでに何度あっただろう 次に目を開いた瞬間に…

蝉の鳴き声

あなたへ ここ数日の私は、なんだか、 とてもぼんやりと過ごしていました。 曇りや雨の日が続いているせいでしょうか。 理由もなく、心が晴れないままに、 厚い曇り空を眺めてばかりいたような気がします。 日照時間と心は、関係があるらしい。 こんなことを…

あの頃のあなたをみつける瞬間

あなたへ 専門学生になってからのあの子の登校時間は、 高校生の頃に比べると、随分とゆっくりの時間になりました。 私が出勤する頃は、まだボサボサ頭に、パジャマ姿のあの子。 髪をセットして、着替えたあの子の姿を見るのは、 学校から帰って来た、夕方の…

相合傘

あなたへ あの時も、 あの時も、 あの時も、 手を繋いで歩いたね。 雨音を聞きながら、 結婚する前の私たちのことを思い返してみれば、 雨の日の記憶がないことに気が付いたのは、 作日のことでした。 曇り空の日は、覚えてる。 ほら。 あなたが行ってみたい…

雨の日

あなたへ 先日、久し振りに、少しだけ晴れ間が見えたものの、 こちらでは、連日、雨音が聞こえます。 雨音を聞きながら、 家族3人で過ごした、あの家での時間を、思い出していました。 また雨か って、残念そうなあなたの声と、 窓の外を覗くあの子の姿。 今…

夢で繋がっていると確信した日

あなたへ 午前中に、みっちゃんの用事があるから、 明日は午後から実家に行くみたいだよ これは、夢の中のあなたの言葉。 あなたを見送り、 どれくらいが経った頃だったでしょうか。 あなたの実家へ、皆で集まる予定だった日の前日に、 夢の中のあなたが、 …

愛を伝えるやり方

あなたへ その温かな手を離さなければならなくなってから、 私は、何度、あなたの夢を見ただろう。 夢の中で、あなたがくれた、 ひとつひとつの甘い時間を思い出していました。 あなたと手を繋いで、公園を散歩した日のこと。 ただ、黙って、私を抱き締めて…

シロップ漬けのパイナップル

あなたへ 家族3人で、初めて、バイキングのお店で、 食事をした日のことを覚えていますか。 あの日、あなたがお皿いっぱいに持ってきたのは、 パイナップルでした。 とても嬉しそうに、 パイナップルばかりをお皿に乗せて運んで来たあなたが、 なんだか、と…

あなたが見ていないもの

あなたへ 台風 豪雨 疫病 あなたを見送ってからの私たちは、 どれだけの恐ろしいものを見て来たでしょうか。 この辺りでも、大きな被害があった台風が来たのは、昨年のことでした。 地球史上最大級。 こんな言葉に怯えながら、迫り来る台風への不安に、 私は…

七夕の願いごと -2020-

あなたへ そちら側のあなたが たくさんの幸せに恵まれますように あの子の人生が 素晴らしいものでありますように このまま真っ直ぐに歩めますように 来世でも きっと あなたと結ばれますように 来世でも またあの子と 3人家族になれますように そして、 コ…

確かな証拠を拾い集めながら

あなたへ 私たちは、運命の出会いだったね。 だって、私は、あなたと出会った時に、感じたもの。 この人だ やっと、逢えたって。  私が、こんな話をした時に、あなたは、笑っていたね。 ねぇ、あなた。 あなたは、どう感じていたのかな。 私と出会ったあの…