あなたへ
サンタクロースのお人形のブーツを脱がせて、履こうとしてみたけれど、
ブーツが小さ過ぎる故に履けなくて、
泣いていたのは幼かった頃の私、らしいです。
らしい。と言うのもこれは、
私の記憶には残っていない、幼かった頃の私のエピソードなのです。
携帯電話に入っているアプリを何気なく開いた私の目に飛び込んで来たのは、
ハイハイが出来るようになった赤ちゃんの動画でした。
何故だか、壁に向かってハイハイをしていて。
全く前に進めないことに怒っているその姿が可愛くて、
思わず笑顔になった私の中へとふと蘇ったのが、
いつかの母が、私に話して聞かせてくれたエピソードでした。
この世界にある当たり前をまだ知らない幼い子は、
この世界に慣れ切った大人を、驚くような方法で、笑顔にさせてくれるものですが、
私もまた、どうやらかつては、そのような存在であったようです。
あなたの隣で笑っていた頃の私は、自分が幼かった頃のエピソードを、
幾つくらい、話したことがあっただろう。
そして私は、あなたが幼かった頃のエピソードを、幾つくらい知っているだろう。
昨日の楽しかったことや、今日の出来事。
そして、思い描いた未来の話。
こうして思い返してみれば、
あの頃の私たちにとっての「今」から、未来についてを話すことが大半で、
こんなふうに、
幼い頃のエピソードを思い出すことは、あまりなかったような気がしています。
長く一緒にいることは、そして、一緒に年齢を重ね行くことは、
少しずつ、話す内容も、
過去へと幅が広くなって行くことなのかも知れませんね。
知ることの出来なかった時間を様々に思い描きながら、
今日は、蘇ったばかりの、私が幼かった頃のエピソードを、
あなたにも話してみたくなりました。
私の記憶には残っていないこのエピソードに、
あなたはどんな声を聞かせてくれたのでしょうか。
P.S
昨夜は、年に一度だけの、あなたと絶対に目を合わせず、
そして、きっとあなたも、そんな私の姿を見ていない筈の夜。
今年も、そちら側へクリスマスプレゼントは届いたでしょうか。
きっと、今年のあなたも、
素敵なクリスマスを迎えることが出来たと、信じているよ。
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