おかえりなさい。
今年も、楽しみに待っていたよ。
コーヒー飲む?
今、淹れるから、ちょっと待っててね。
あのね、あなた。
話したいことが、山ほどあるよ。
あのね。
あの子はね、相変わらずに、しっかり頑張っているよ。
ねぇ、あの頃の私たちには、全く想像もつかなかったね。
あんなに甘えん坊だったあの子が、
こんなに立派に、自分の道を歩む子に育ってくれるだなんてさ。
これからのあの子の成長も、本当に楽しみだね。
あのね、それからね。
いつかのあなたがプレゼントしてくれたあのスカート。
私ね、ちゃんと履けるようになったんだよ。
ほら、あれよ。
私にはサイズがちょっとアレで、履けないままだったあのスカート。
私さ、今の姿で、あなたの隣を歩いてみたかったな。
ねぇ、あなたは?
この1年は、どんな1年間だった?
そっち側は、最近どう?
面白いことはあった?
ねぇ、あなたは、宇宙がどうなっているのか、知っているんでしょう?
無の場所ってさ、どうなってるの?
聞かせてよ。
そうだ!何か食べたいものはある?
ねぇ、あなた。
それからね、えっとね、えっと・・・。
今日は、あなたとたくさんの話がしたい。
お菓子もたくさん準備したし、アイスクリームもある。
コーヒーも淹れたしさ。
今夜は、夜通しでお喋りをしてさ。
それでもきっと、時間が足りなくて、
私はきっとまた、眠らなくても良い身体を、
本気で望んでしまうのだろうけれど、
明け方を迎える頃になって、微睡みながらあなたの声を聞くことも、
きっと、とても幸せなのだと思う。
お盆には、
故人となった人が、帰って来るのだという。
それなら、今だけで良い。
故人となってしまった彼の手に、頬に、
触れることが出来たら良いのにと思う。
彼と話が出来れば良いのにと思う。
お盆が終わったら、ちゃんと笑顔で、
その手を離すと、今の私なら、きっと約束出来る筈だ。
自信を持って、約束出来る私へと成長することが出来たのに、
彼は今年もまた、この瞳には映ることがないままに。
それでも私は、何度でも、
こうして彼に話しかけ続けながらも、
耳を澄まし、時々、部屋中を見回してみるんだ。
いつか、一度くらい、奇跡が起こるかも知れないことを信じて。
だって、時はお盆なのだから。
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